=頭痛=・・・『スパイラル・ピアースな夜』より


朝から頭痛がする・・・・ 

 

その男は世辞にもいい男には見えなかった。身体から4本の突起物が出て
顔と思われるとこには大きな穴が3個・・出来物のような腫れまであった。

 

男は言った・・・・

 「実は昨日まで・・モンスターに身体を乗っ取られていたんだ」
 「えぇぇ そうなのか!よく無事だったなぁ」

俺はその場を立ち去りたい一心で、半ば作り笑顔で大げさに答えた。
今時モンスターに身体を乗っ取られるなんて・・男の精神状態を疑っていた。


 「それがさぁ HPが少なくなって・・やばいと思った瞬間、
  いきなり数十匹のモンスターが俺の身体にまとわりついたんだ」
 「きもいなぁ」

「それでテレポでその場から脱出しようと思った瞬間・・HPがきれて
  ・・・・それからは・・頭がボ-となって・・」
 

俺はその壮絶な状況が、昨日の自分の悲惨な狩りと重なりあって
男にささやかな同情心が湧いてきた。心的外傷(しんてきがいしょう)には
迅速にセラピスト(精神分析医)が必要なことも理解してる。
 
 でも・・・益々頭痛がひどくなってきた。

 「俺も昨日、砂漠で同じ状況だったよ、ありゃ今思えば死ななかったのが
  不思議なくらいさぁ 神様に感謝してるよ」


 男はちょっと照れ笑いをして、

 「そうかぁ ラッキーだったなぁ。で・・俺は、もとに戻ったんだよ。
  よかったよ、晴れて人間になれて嬉しいぜ」

 「おおお よかった。おめでとう!!」

 

俺はもっと男の話を聞いてやりたかったが、なんか明るく喜びに満ちあふれてる
様子から、もういいかなぁと別れの言葉を探していた。


わざと名残惜しそうに俺は男に言った。

 「でわぁ 俺は行くよ。お互いがんばろうぜ

 「おぉ 行くのか?聞きたくないのか?」

 「何を?」

 「どうやって人間に戻ったか?をさぁ」

 「まぁ 俺なら自分探しの旅にでもでるよ(--)b」
 
 俺はこれ以上つきあえないと思って、あえて哀愁をこめた俺流のジョークを
男に送ってやった。


 男と別れて、プロンティアの噴水で顔を洗いながら、水面に映る自分の顔を除く俺がいた。
よかったよ・・あんな不細工な男に生まれなくて、俺にはこんなかっこいい顔や
たくましい身体があるぜ・・

 

そこには・・・つるつるの顔とねばねばの身体と無数のシワがあった・・・