今回視聴したのは、1987年の「追い詰められて」で、アマプラにて拝見しました。
確か横浜に住んでいる時にレンタルして観た記憶があります。
オチがどんなだったか忘れていたので、また観たいと思っていたところアマプラでやっていたので観ました。
主演はケビン・コスナー、ジーン・ハックマン
トム:海軍士官
デヴィッド:国務長官
スコット:法律顧問
スーザン:愛人
この作品、前半はこれでもかとトムとスーザンとの恋人模様を描きますが、やがてスーザンが国務長官の愛人であることが分かり、トムの心の葛藤も描かれます。
というのも、国務長官はトムからしたら金も権力もあり、出世に繋がる上司であるがゆえに、スーザンを愛してしまったトムには、余計に憎むべき相手だからです。
その後、国務長官が誤ってスーザンを殺してしまい、スコットとどうしたもんかと思案した結果、国務省に潜入しているロシアのスパイが殺したことにして、このスパイを見つけるためにトムに捜査するよう命令します。
しかし捜査を始めると、直近でスーザンに会っていたのは、国務長官以外ではトムという事になるので、次々とトムが疑われる証拠が挙がってきます。
このままではトムが犯人になってしまうわけで、どうする、どうなるトムってな感じで話が進んでいきます。
この辺のサスペンスは、後のデンゼル・ワシントン主演の「Out Of Time タイムリミット」辺りが影響を受けたと思われ、「やっぱ真似したくなるよな~」てな感じです。
さてこの作品ですが、スパイを見つける、つまり犯人捜しといったサスペンス物の側面を持っていますが、愛憎劇でもあります。
実はスコットがかなり暗躍するのですが、なぜここまでやらなければいけないのか、観客はぼんやりと疑問を抱きます。
そうなんです、この人も愛に報われない役どころなのです。
実は、スコットもトムもスーザンもデヴィッドも全員愛に報われない役どころなのです。
しかも仕掛けはこれだけではありません。
最初はスパイが殺人を犯したとスパイをでっち上げるのですが、最後のオチでスパイの真相が明かされます。
いろいろと2重構造にして、話がいつの間にか交錯していきます。
権力闘争まみれで悪口が跋扈するワシントン界隈で、一夜のロマンスが本当の愛になってしまい、しかも登場人物がみな本当の愛に報われないという悲劇作品であったのです。
しかも最後にこういったセリフが入ります。
「戻ってくるさ、他に行くところなどない」
これは英雄としての道を取るのか、それとも愛に生きるのか、観客に対して「あなたならどうする?」と問いかけているのです。
愛なのか? 名誉なのか?
そういった作品なのでもあります。
・猫のユーリさんの動画
・猫ユーリ博士の動画