奇想天外空想ラジオ 高橋恵&紫式部対談partⅡ「女のしあわせって何?」 | 企画屋うっちゃんのブログ

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奇想天外空想ラジオ 高橋恵&紫式部対談partⅡ

今回のお題「女のしあわせって何?」

 

 

「平安の紫式部と令和の高橋恵、1000年の時空を超えて笑って過ごす生き方の知恵を語り合う番組」partⅠをアップしたところ、こうきたかぁ~こんなに面白い対談はない・・との評価を得ての第二弾です。

煽てられるとその気になってしまう私は、高橋恵さんの新刊本「百年人生を笑って過ごす生き方の知恵」(致知出版)の幻の創文原稿を基に、奇想天外空想ラジオ「おせっかいを聞いてくれー!」を創ラジしました。

ラジオを聴いている気分でお読みください。

では、間もなく始まります・・・

 

 

え?え!えっえええ!

「どうした?!」

恵サロン特設ラジオスタジオに緊張が走った。

 

 

ラジオスタッフの焦りと思惑が錯綜し始めていた。

「番組開始三分前なのに、恵さんとゲストの紫式部さんが、まだ到着していない、どうなっているんだ・・」

「何度も連絡してますが・・キッチンに残っている恵さん特製の麦味噌みそ汁は温かいままですが・・・」

「おいおい、この部屋から恵さんだけが消えたってか・・今日の番組はドッキリホラーじゃないだろうな」

「いつも通りのゲストトークと聞いてますけど・・・あと30秒で番組始まってしまいます」

「オープニングのおせっかい音頭でとにかく時間をつなげ」

「え、それで三分はつなげますけど、その後は」

「うーん、そうだ前の番組で新刊本の朗読をしていたな、それだ!」

「誰が読むのですか、前はアナウンサーのプロがやってましたけど、今ここにいるのはプロデューサーと音声の私だけです」

「決まっているだろ、音声だったら朗読もできるだろう、声をだすプロだろ」

「あの・・音声の意味が違います・・・どういう発想なんですか・・」

「とにかくなんだっていいから、恵さんと紫式部さんが到着するまで本を朗読して時間をつなげばいい」

「嗚呼、どうする私・・漢字苦手だし・・福島の方言だし・・・がんばっぺ・・・嗚呼どうすっぺ・・」



「開始30秒前・・」

「10秒、9、8、7、5、4、・・・・」

オープニング「おせっかい音頭」♪が流れた。

番組の元気応援歌作曲歌鈴木智子さんの素敵な曲



オープニング曲が終わりかけた時、スタジオに閃光が走った。

プロデューサーが叫んだ「あ!あ!、き、き、きたー――――――!」

瞬間移動モビルバイクに二人乗りしているライダーが登場した。

運転席には、革ジャンと十二単風ミニスカート、レイバンのサングラスをかけた決めポーズの紫式部。

続いて、後ろに乗っているのは、おせっかいTシャツとドレス姿に素足の恵がお馴染みの「おせっかいー」の写真ポーズ。

二人声をそろえて「お待たせ―、間に合ったぁ~」



恵がおせっかいポーズと共に音頭をとった

「さあ、奇想天外空想ラジオ番組 恵と紫の百年人生を笑って過ごす生き方ラジオ、始めましょう」

胸を撫でおろしたプロデューサーがキューを出した。

「もう番組始まってまーす、オープニング曲入れ替わりで、はい、キューです」


「恵と紫式部のおせっかいを聞いてくれーpartⅡ!」


「はぁーい、私がおせっかい恵こと高橋恵です、そして、partⅠに続いて二回目の登場のゲストは・・」

♪QueenのWe Will Rock Youのイントロ、ドン・ドン・パシッ!が流れてくる

「イェー、私が源氏物語を書いた、何と!大河ドラマの主人公紫式部でーす」

「紫ちゃん、すごいわね、大河ドラマの主人公よ。悩んでばっかりの人生を描いた大河「どうする家康」の次よ、たぶん題名は「光の君へ」でしたね」

「心配だわ、撮影始まっているから、柱の陰から見ていようかしら」

「あはは、当の本人紫ちゃんが画面に映ったら話題になるね、見て見たい気もある。番組始まったら柱の陰に注意してみないといけないですね」

「どのような物語になるかも心配、だって私の紫式部日記を原作にしてるというから、そこに脚本のネタあるのかしら。

どうしようもない平安貴族の滑稽な生活を、噂話の面白いところと愚痴ばっかり書いてただけだから。小説の源氏物語をベースにした大河ならいくらでもかけると思うけど、私自身の恋愛物語にスポットを当てるなんて・・・どこをドラマにするのかなぁ。私の方がどんなドラマになるのか興味津々。

前の大河が「どうする家康」なら題名は光る君へより「愚痴って紫式部」がピッタリなくらいよ」

「あはは、「愚痴って紫式部」その題名も面白いわ、でも紫ちゃんは、本当は楽しいこと大好きなおせっかい性格だって私は知っているわ」

「恵ちゃんほどおせっかいじゃないけど・・楽しいことは大好きよ」

「私の好きな紫ちゃんのおせっかい話は、友人が赤ちゃんを生んだと聞いて、育児に必要な品を急ぎドーンとプレゼントしちゃったところよ。でも、その友人は赤ちゃんを生んでなかったんだって」

「そうなのよ、送り届けた友人から丁寧に「ありがとうございます、でも生んでませんので・・・」と、お礼状と品物がかえされてきたわ」

「即速行動だったんですね」

「当時は子供を産むって命がけだったのよ、だから生まれたと聞いて、確認もしないままに、即速祝いの品を贈ったの。

あはは、生んでなかったけど」

「お友達も、紫ちゃんの愛あるおせっかいに感じ入ったと思うよ、きっと。今日だって、突然瞬間移動モビルバイクに乗って登場して、恵さーん、その麦味噌みそ汁もって!すぐバイクに乗って!今から行くよ!と突然連れていかれた即速行動だったしね」

「天界のおせっかい仲間の勝じい(勝海舟)が、恵さんの新刊本出版記念パーティをするから、いますぐつれてこいー――といわれて、恵ちゃんを迎えに来たのよ」

「紫ちゃんも大変だったね、勝海舟さんはおせっかいと江戸っ子DNAのせっかちを掛け合わせたような超速行動人だから、すぐ私を連れに飛んで来たのね」

「勝じいは、バイクの運転免許を持っていないから移動する時はいつも呼びつけられるの。

なんとこの紫式部が勝じいのアッシーくんをしているのよ。

この前なんか、戦争が始まったというニュース速報を観ていた勝じいが、大好きなパンが食べれなくなるのは嫌だぁと叫んですぐ電話が来たのよ。小麦の一大産地ウク国が、焼き払われる危機に陥っている。そんな無謀な戦争止めに行くぞー、今すぐ戦い始めたロシ国大統領に直談判にいくからバイク出してくれ・・と連れ出されたわ」

「大変だったわね。今戦争やってるあの国ね、で、どうなったの」

「なんと、勝じいお得意の腹割っての直談判で、ロシ国のプチ大統領もパンが好きだと判ったのよ、お互いパン談義で盛り上がり、バン好き同志の聖地、世界の穀物畑は焼き払いませんと約束したのよ」

「私の父も戦争で亡くなったから、戦争は止めてほしいわ。

その後、勝じいの力で戦争はどうなったの」

「小麦の約束はしたけど、強面の警備兵が鉄砲もって迫ってきたのでそこで急ぎ逃げたわ。

でも勝じい曰く、あんなでっかい城に住んでる大統領は、民衆の心を知らないからじき崩壊する、戦争も終わるな・・江戸城にこもっていた将軍様、江戸幕府と同じだ・・・と言ってたわ」

「ところで、突然連れていかれた天界で開催された私の新刊出版記念サプライズパーティは、とにかく面白い人ばっかりだったわね。

私の家に山野辺カレーを食べにくる、坂本龍馬さん、西郷隆盛さん、渋沢栄一さん、のおせっかい仲間の他に、聖徳太子さん、徳川家康さん、ケネディ大統領、ケネディさんの師の上杉鷹山さん、モーツアルトさん・・・・えーと、そうそう江戸時代の大人気花魁高尾太夫(後に大名の側室になった名跡)とも知り合いになれたわ、それに料理は、私のおせっかい仲間の絶品寿司職人の井上さんのお寿司も久しぶりに食べることができたし最高だったわ」

「勝じいのいち押しの寿司職人井上さんと恵さんはつながっていたんだ。今度、世界のトップが集う天界サミットの寿司料理人に推薦していると言ってたわ。

それにしても高尾太夫のオーラは凄かった、登場した瞬間に男性陣の目が点になっていたわ、やはり歴史に名を残した本物のスターは、伝わってくる輝きが違うわね、嫉妬しちゃうわ」

「紫ちゃんだって、1000年もの間ずーと輝き続けているじゃない」

「それは、源氏物語が輝いていたから、そのおこぼれで作者に光があたったってことよ、大河もそうよ」

「大河の真実を、持ち帰ってきた井上さんのお寿司食べつつラジオ女子会しましょう」

ラジオのプロデューサーから「そろそろ新刊本「百年人生を笑って過ごす生き方の知恵」(致知出版)の話を!」のカンペが出された。

「あらカンペが出たわ、新刊本の話をしてくださいだって、どうする紫ちゃん」

「プロデューサーは私の性格知らないわね、私はあまのじゃく指示されるの嫌いだから、無視していいんじゃない」

「あはは、カンペが逆効果だった、つづけて好きな事を話しましょう」

 

 

プロデューサーが頭を抱えている、その脇で音声さんがイぇ―とサムアップしている。

恵が音声さんに二番目の曲をかけるように二本指でサインした。

♪女のしあわせって何? 女なら、さぁ輝いて生きていこう!

♪甘いもの食べて、酒飲んで寝て、一晩だけ泣いて

♪明日を見つけに行こう

大禅師文子さん「My Name is Woman」のロックがかかる

ロックがかかると同時に紫式部がノリノリで踊り出した。

「♪女のしあわせって何?、女なら、さぁ輝いて生きていこう!」と歌い踊った。

「恵ちゃんに紹介してもらったこの歌大好き、このフレーズいいわね、心に響くわ。

♪女なら、さぁ輝いて生きていこう!♪甘いもの食べて、酒飲んで寝て、一晩だけ泣いて・・今度から私の登場曲にしようかしら」

「この歌うたっているのは大禅師文子さんと言って、路上ライブで一万枚のCDを販売した伝説の歌姫よ、おせっかい仲間なの。

悩みができると恵ママきいてくれる・・といって、ここに遊びに来るわ。

私もここのサビのフレーズ「与える喜びに生きよう、誰かに尽くしていこう、凹むんじゃなくて、自由を見つけに行こう!」は、おせっかいのスピリットにもマッチングする言葉ね。

それじゃこの曲のつながりから今日は女のしあわせって何?の話から始めましょう」

 

 

「女のしあわせって何? これは究極な大命題ね。

そういえば、恵ちゃんのところに前回放送の時にいろいろと悩み相談が届いていたといったわね」

「そうそう、たくさん来たわ、紫ちゃんにもお聞きしたいと質問もきたわよ。

みんな女のしあわせって何?に悩んでいるのね。

では最初のメールを読むわね、リスナーからも質問も多いのよ、聞いていい?」

※前回放送の抜粋も併せて書いています。

「え、何だろう?難しい質問はダメよ、1000年前の事は覚えてないこと多いから・・」

「一番多い質問は、何故、源氏物語を書いたの?これが多かった、私も一度聞いてみたかったの」

「最初から直球の質問ね。

それなら私も真面目に答えるわよ、すごく大事なとこだから。

源氏物語の文学的表面だけを知り、私が伝えたい本質を歪曲している人たちもいるから、ここはバシッと言いたいわ」

「え?、歪曲って」

「私も後で知ったのだけど、女子大を創設した日本一学識の高い女性文学者の先生に、源氏物語を世界に広めたいので英訳してもらえないだろうか・・との依頼があったらしいの、そしたら先生が「このような卑猥な文学は日本文学の恥です、私は英訳したくありません」と断ったらしいの。

私が書いた本質はそこじゃないのにな~と苦笑してしまったわ」

「あら、国宝的文学書なのに卑猥だなんて、もちろんドキドキするところはあるけど、本質はそこじゃないのにね、それこそバシッと言ってほしいわ」

「源氏物語の主人公は二人いるのよ。

一人は光源氏、そして、もう一人が葵の上と女性たち。

私が一番書きたかったのは、光源氏に溺愛され、翻弄された葵の上と女性たちの生き様をとうして「自分の意思を強く持った生き方をしてほしい」ここが「女のしあわせって何?」への最大の答えでもあり、後世の女性に訴えたかったことでもあるの。

平安時代の貴族社会は、男尊女卑そのもの、部屋に囲われ女性は子孫を残すためのもので、夫も職業も自由に選ぶ事は出来なかった。私自身、そのような中、結婚して後に歌人と皇族の教育係となる娘を生んだのよ。でも旦那さんは流行り病で三年で病気でなくなってしまったけどね」

「あら、結婚生活はたったの三年だったの、短かったわね」

「旦那さんは光源氏のようなイケメンプレイボーイだったわ。

でも結婚三年で夫を病で亡くして、そのストレスから逃れるために恋愛妄想をドドーンと巡らして源氏物語を書き始めたのよ、書いていると別世界で遊べたから」

「それじゃ旦那さんが光源氏のモデルなの?」

「旦那さんも妄想の中の一人かな、でももっとすごい自意識過剰なプレイボーイがいっぱいいた。

題材には事欠かなかったわ。面白い小説やドラマがいっぱいかける事件ばかりが起こっていた。

当時の平安貴族はそれが当たり前だったのよ」

「紫ちゃん、今の時代だったらあちこちに愛人のいるプレイボーイ不倫は、すぐ週刊誌のネタになり、泥沼の三行半になってしまうわ。そうならない平安時代は、おおらかで恋愛を楽しんでいた感じね」

「話題になった、女優のひろさん、料理人とばさん、ろうそくジュンさんの三つ巴の恋愛劇は平安では当たり前よ。

源氏物語を読んている人なら分かると思うけど、この程度なら宮中の話題にならないし、私も書かなかったと思うわ。

でも最近の恋愛劇を見ていると恋愛を楽しんでいないわね、自分の欲求を満たすだけのように見えるわ。

平安時代は恋愛にも美意識があったわ、恋する人を花にたとえるとか、自分の想いを花鳥風月に例えるとか、恋愛を楽しんでいたのよ」

「紫ちゃんの言う「恋愛を楽しむ」そこの話をもっと聞きたいわ」

「恋焦がれる路が長いほど愛が深まると思うのよ。

それだけに恋焦がれる路を歩きながら、様々な相手の妄想・・花に例えたり、香りに例えたり、月夜の和歌に例えたり・・で心を満たしていくのが恋愛の楽しみなのよ。

ラブレターをあげたり、もらったりするのがドキドキ感があるから愛が深まるのよ。

今じゃ、メールのハートマーク一つでしょ。贈っても、貰っても心が伝わらないよね。

本命には、自筆でラブレターを書くのが一番。

源氏物語にはその恋焦がれる男女の恋路が描いてあるから参考にしてほしい。

恋の路には時代は関係ない、互いの妄想の時間が長いほど愛は燃え上がるわ」

「紫ちゃんの名言でました「妄想の時間が長いほど愛は燃え上がる」 源氏物語は時代を超えた恋愛指南書でもあるのね」



紫ちゃんが突然歌を詠む

「見し人の けぶりとなりし 夕べより 名ぞむつましき 塩釜の浦」

「おお、紫ちゃんの歌、この歌はどのような意味なの」

「夫が亡くなった時に書いたのよ。私の愛が伝わっているわ。

夫が荼毘(だび)にふされ、煙となったその夜から(海藻を焼いて塩を取る地として有名な)「塩釜」が親しく感じられる心をうたったものなの、命のはかなさ、つまり人生の無常を歌った感じかな」

「うーん、塩釜のたとえがユニークだけど、その根底には源氏物語の無常観と通じるものありますね」



「この質問の締めに、私の新刊書「百年人生を笑って過ごす生き方の知恵」からのアドバイス、

「恋人の値踏みはブーメラン、相手も値踏みをし始めている」この言葉を贈ります」

「私もこの言葉大好き、恋の路は値踏みはご法度よ。位や財産に惑わされると不幸のブーメランになって戻ってくる、純粋に楽しんだ方が価値(勝ち)よ」

「決まったところで、ここでリクエストの一曲かけましょう、大田区にお住いのうっちさんから

佐野元春さんの名曲「世界は慈愛をまっている」をお聞きください」

※スタジオには、恵さん調理の絶品麦味噌味噌汁がふるまわれた。

「この麦味噌味噌汁よ、生き返る~、井上さんのお寿司と最高にマッチング―!」と紫ちゃんが声を上げた。

 

 

プロデューサーから声がかかった。

「はーい、曲明けに次のお題に行きまーす・・・

5、4、3…はいQ」

「紫ちゃんと私への次の質問です」

「あら、二人に来た質問なのね」

「そうなの、現代の私と1000年前の紫ちゃんのシングルマザーへの質問よ。

私は、三歳の子を持つシングルマザーです。夫の暴力から逃れるように離婚して子育てしています、子供の寝顔を見ていると明日も頑張ろうという気持ちになると同時に、将来の不安にもかられます。その時はお二人はどのようにして不安を解消したのでしょうか・・・・・紫ちゃんの夫婦仲はどうだった」

「私の旦那さんは、私が分かっているだけで三人の愛人がいたのよ。平安時代は三人は少ない方だったし、中流貴族では愛人がいるのが当たり前でもあったの。

三人いたということは、家に帰ってくるのは4日後、その間はフリーなのよ。

そう考えると意外と自分の時間がたくさんあったわ。

それに、旦那さんを恨んではいなかったわ、けっこう好きな事させてくれたから。お互い鑑賞しない、今でいうクールな夫婦だったのよ」

 

 

「現代でも、亭主元気で外がいいといいますから、1000年前もいっしょね」

「でも旦那さんが亡くなってから、一人娘を抱えてシングルマザーとしても歌人・執筆活動をして生き抜いたわけだから、苦労も多かったんじゃない。華やかな平安貴族の影でのシングルマザーの生活の話を聞いてみたいわ」

「恵ちゃんだって、シングルマザーで娘さん二人、起業しながら立派に育てたじゃない」

「私の場合は、母親が石橋をたたく前に渡ってしまう性格だったから、その背中を見ていた娘たちが勝手にしっかり育ったのよ。

そこのところは幻の小説「中野ワンルーム物語」に書いているわ、面白いわよ」

「あはは、どの時代も同じだわ、私の娘も母の破天荒な生き方を教訓に、しっかりした歌人に育ったわ」

「そうよね、親ができることは、子供たちの背中を押すことくらいかしら、私は逆に背中押されていた気がするわ」

「私もそうよ、母が源氏物語の作者といっても平安貴族社会では何の価値もないの。

親の七光りが通じるのは皇室か上級貴族の子息だけ、私のような中級貴族は、実力で生き抜かなくちゃいけないの。もちろん、文学的才能、知性も、美貌も、磨きをかけて認められないといけない、這い上がるための権力闘争は令和の時代よりすごい世界よ」

「源氏物語には、光源氏を取り巻く恋愛や貴族同士の権力闘争、出世への欲望を生々しいくらい書いていたわよね。半沢直樹のドラマよりどん底這い上がりの世界で面白かったわ、それが物語ではなく真実だったのね」

「恵ちゃん、出世への欲望、権力闘争、女の闘争はどの時代でも生きるか死ぬかの激しい戦い、その戦いを勝ち抜いたとしても、人生の勝者になるとは限らない・・光源氏の最後は、それを描いているの」

「紫ちゃん、読後は心にジーンときたわ、だって、登場人物が誰一人ハッピーエンドにならずに終了してしまうんですもの。

光源氏にしても天皇の子の血筋であっても、母方の身分の関係で貴族の中でも低い身分からスタート。

後に自身の息子が天皇になるなど大出世を果たしたにもかかわらず、最後は「私の人生とは何だったのだろう・・」と心の闇深さに嘆いて出家しているしね」



「さすが恵ちゃんわかってくれている、源氏物語のエンディングは「人間としての豊かな生き方とはなんだ」という問いかけなのよ。

人生は「栄枯必衰」そのものよ「一度栄えたものはいつかは滅びる」だから日々「自分の意思を強く持った生き方をしてほしい」と訴えていたのよ。

今回の質問者のシングルマザーのあなたにガツンと言うわ、不安は自分が創ったものよ、自分が楽しく思えば楽しい人生が引き寄せられてくる、子供もそんなお母さんの背中を見ているとしあわせになるのよ。悩む時間はもったいない、楽しんで、笑ってね」

「紫ちゃん、大共感するわ。その話が聞けただけでも、ものすごく幸せよ。

この質問の締めに、私の新刊書「百年人生を笑って過ごす生き方の知恵」からのアドバイスを一つ。

「人生は見方を変えれば味方が増える」を贈るわ、頑張ってほしい」

「恵ちゃん、この言葉好き、メモしたわ」



プロデューサーが、次の質問で今回は終わりとサインを出してきた。

「あら、質問はもう一つで今回は終わりだって。どうする、紫ちゃん」

「続きはまた今度のお楽しみにして、最後の質問しましょう、お腹もすいたしね」

「終わったら、ここから歩いて5分の「ただいま変身中」の牡蠣ラーメンをみんなで食べに行きましょうよ」

その言葉を聞いて、ラジオのプロデューサー・音声さんが大きな〇を出して歓迎していた。

次の質問のSE(効果音)ドラムロールが流れる。

恵が「ありゃ、クイズ番組じゃないんだから~」といいつつも質問から一つを引いた。

「この悩める若者の質問にしましょう、会社でも、友達関係でも、いつも人間関係が上手くいきません。とっつきにくいと思われています。本当は友達が欲しいのですが、どうすればいいのでしょうか・・・・」

「紫ちゃんは、源氏物語を書いた後、宮中に宮使いしたことがあるんですって」

「恵ちゃん、よく知っているわね。一条天皇が源氏物語のファンだったのと、日本書紀の漢文学を教える人を探していたとお声がかかったのよ。中宮彰子様の女房(世話係)として出仕したの、当時、お金もなかったから渡りに船だったわ」

「下世話な話を聞いていい、中宮様に使える女房のギャラはいくらだったの」

「今の金額にすると、中流貴族で歌人で有名な従六位の山上憶良様が約2000万、女官は同じ従六位下では男子の半額と決められていたから約1000万くらいかな、旦那が亡くなってからフリーターだったから、お声がかかって助かったわよ」

「宮仕えって、結構いただけるのね、今のキャリアウーマンというところかしら」

「あはは、ところが、出仕したのはいいけど、遅刻はするわ、そして、半年間引きこもりの出仕拒否・・とんでもないキャリアウーマンだったのよ」

「原因は、職場のいじめ?」

「うーん、周りの私を見る眼が嫌になって、自分で壁を作ってしまったのよ。

一条天皇の推薦だし、周りの女官が源氏物語の作者だと知っていたから、学識高く、気位の高いエリート意識の冷たい女房だと、勝手に思って、私と話するのを敬遠していたみたいなの。

本人はこのように結構ざっくばらんなのにね。

だから、周りの女官とお近づきになろうと歌を贈ったりしても返事がないし、無視されるし、つかれてしまったのね、それで、もうこんなとこ嫌だと引き籠もったの」

「でもその後は、ずうと出仕したわけだから、きっかけは何だったの」

「肩ひじ張らずに『天然ボケを演じる』ことにしたのよ、心の中でこの野郎とおもってもぐっとこらえて・・・

「知りません、存じません、解りません」といって教えてくださいと先輩に教えを乞う作戦よ。

周囲の人々から「思ってた人と違っておっとりとして穏やかな人」という評価を受け徐々に信頼される存在になっていったのよ。

恵ちゃんの本にも、悩みの九割は悩まなくてもいいこと・・と書いてあったけど、まさしく悩まなくてもいいことを私が勝手に悩んで壁を作っていただけなの」

「あはは、それはうまい作戦。営業でも、友達でも、教えを乞われると気分がいいものよね。

相手の懐に飛び込むのに最適な作戦だわ」

「恵ちゃんの本と共通点がたくさんあるわ。1000年時代が違っていても人の心根は同じだだから、この質問者の方にも、私の「教えを乞う」作戦をお勧めするわ」

「この質問の締めに、私の新刊書「百年人生を笑って過ごす生き方の知恵」からのアドバイスを一つ。

「自分は自分でいいのだ、他人は他人でいいのだと認めたほうが、付き合いが楽しくなる」を贈るわ、頑張ってほしい」

 

 

♪エンディングソング「小さなおせっかい」詩内村守男 作曲・歌大禅師文子

が流れてくる。

「紫ちゃん、今日はありがとう、もっと話したいから、また遊びに来てね、最後にリスナーへメッセージお願いしたいわ」

「私が強く言いたいことは「人生の豊かさを決めるものは人との関わりであり、人を大切にすること」にかぎるわ。これからどんな時代になっても、これさえ忘れなければ、生き抜けます」

恵ちゃん、紫ちゃん 声をそろえて

「出会いは人生を加速する!

言ってみる、行ってみる、やってみる! 

みるみる生き方で、みるみる未来が変わる!」

「あはは、決まったわね。今日のゲストは、源氏物語の作者 紫式部さんでした。進行は、おせっかい恵ママでした・・」

「私の源氏物語と恵ちゃんの新刊「百年人生を笑って過ごす生き方の知恵」を読んでね、いい夢みよう!」

と紫式部が親指をサムアップして「イェーイ」と言って瞬間移動モビルバイクで牡蠣ラーメン食べに去っていった。

奇想天外空想ラジオ 高橋恵&紫式部対談partⅡをお読みいただきありがとうございます。

時間のある時にpartⅢも書いてみます。 感謝 内村