四日市市が(仮称)大矢知中学校の新設を断念し、朝明中学校移転の方針に転換したことは以前のブログでもご紹介しました。


《参考ブログ》

【(仮称)大矢知中学校新設事業断念を四日市市が表明!】~朝明中学校移転事業へ方針転換!~

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-12123451410.html 


 この方針転換は1月25日の議員説明会にて明らかになったのですが、その後市は平成28年度当初予算として「朝明中学校の移転建替のための基本構想を策定する為の予算」〔教育環境課題解決方策策定事業〕500万円を2月定例月議会において上程しました。


 今回の朝明中学校の移転先は、公式には未定となっていますが議会での教育委員会の答弁等から、以前(仮称)大矢知中学校の建設予定地であった大矢知興譲小学校付近となります。


 当予算は予算常任委員会の全体会審査事項となり、今議会でも大きく議論が行われました。


 私が最も納得がいかなかった点は、1月25日の議員説明会の後、教育委員会が八郷地区に一切の説明を行わずに、朝明中学校移転に関する予算を上程したことです。


 現在、朝明中学校は八郷地区にあり、中学校が移転する八郷地区にとっては中学校移転は大きな不利益を被ることになります。


 その当該地区に一切の説明をせずに、中学校移転が粛々と進められている事に疑問を感じざるを得ません。


 朝明中学校若しくは朝明中学校区における絶対的な課題を解決する為に、移転が必要であれば教育委員会が強力に推し進めていけば良い案件なのですが、私の認識では朝明中学校の移転が現在ある課題を解決するための唯一の方策とは思えないのです。


 教育委員会は、今回の朝明中学校の大矢知地区への移転が実現すれば以下の大矢知地区の課題を解決されるとしています。


①人口約2万人の地区に中学校がない

②地区の中学生が地区外の4つの中学校に通学

③朝明中学校への遠距離自転車通学

④朝明中学校の学校施設不足

⑤大矢知興譲小学校の学校施設不足


 では、朝明中学校が大矢知地区に移転になれば、これらの課題はどうなるのでしょうか。


①人口約2万人の地区に中学校がない

⇒人口約2万人の地区の大矢知地区には中学校が出来るが、人口約1万3000人の八郷地区から中学校が無くなる


②地区の中学生が地区外の4つの中学校に通学

⇒大矢知地区の中学生は、地区内の1つの中学校と地区外の3つの中学校に通学

基本的に4つの中学校に分散する構図は変わらない。


③朝明中学校への遠距離自転車通学

⇒大矢知地区の生徒は自転車通学では無くなるが、八郷地区の生徒は自転車通学になる


④朝明中学校の学校施設不足

⇒今後10年で朝明中学校の生徒数は100人以上減少し、施設不足は自ずと解消される。

平成27年度市内で最も生徒数が多かった朝明中学校は10年後の平成37年度は市内で上から6番目の生徒数になる。


⑤大矢知興譲小学校の学校施設不足

⇒今後10年で生徒数が60人以上増加し、現在よりも学校施設不足が進む


 以上の様に、一つ一つ整理していくと⑤の大矢知興譲小学校の学校施設不足は喫緊の課題としても、他の課題の状況を考えると朝明中学校の移転がどこまで必要なのか疑問も出てきます。


 ただ、朝明中学校区の住民の大半が、諸課題を解決する為に中学校の移転が必要と判断するのであれば、議員としてその決断に一定の理解を示さなければならないと考えます。


 しかし、移転により不利益を被るであろう八郷地区の意見を聞かずに、朝明中学校移転を進めようとしている教育委員会の姿勢は評価できるものではありません。


 予算常任委員会全体会の審議により、当該500万円の予算に対して議会は、「予算の執行に当たっては、八郷地区住民への説明・協議を先行させると共に、八郷地区および事業の影響が及ぶ関係地域の理解を得ながら進めること」という附帯決議(条件)がつけられました。


 今後の当予算の執行状況について注視していく必要があります。