現在、四日市市議会では2月定例月議会が開催されています。


 2月定例月議会は、来年度の当初予算(平成28年度当初予算は全会計で2,500億円)を中心とした審議が行われています。


 現在、予算常任委員会全体会の真っ只中ですがそれに先立ち、各分科会で所管部局の審議が行われました。


 私が分科会長を務める産業生活分科会においては、市民文化部、商工農水部、市立四日市病院の議案審議が行われました。


 5日間行われた産業生活分科会の審議において、最も紛糾した内容は『市立四日市病院における病院賠償責任保険料』についてでした。


 予算審議前の行われた一般質問の際に「藤田議員」が、市立四日市病院の医療体制について取り上げました。


 その一般質問にて、平成26年に市立四日市病院において患者の死亡があり、平成27年に示談が成立したにも関わらず、それが議会に報告されていない事が明らかになりました。


 当該事実が明らかになった直後の予算審議でしたので、この問題が大きく議論される事になりました。


 この示談にて、患者のご遺族に1,000万円の示談金が支払われているにも関わらず、議会に対して一切の報告が無かった事について問題視する意見が相次ぎました。


 ではなぜ、今回の示談について市立四日市病院は議会そして市長に対して報告を行わなかったのか。


 これまで、市立四日市病院のルールとして『医療過誤』により患者が死亡した場合又は重篤な障害が残った場合において「市立四日市病院医療事故公表基準」に基づき公表、議会に対する報告を行うこととしていました。


 しかし、今回の件は、この公表、報告基準に該当しなかったのです。


 「市立四日市病院医療事故公表基準」では、『医療過誤』のケースしか公表・報告対象としていません。

 示談は両者の和解で成り立つので病院側も『医療過誤』としない条件で示談に応じるのです。


ですから、「示談」は「医療過誤」とはならず、公表・報告対象にはならなかったのです。


 しかし、示談の際に払われる示談金は、市立四日市病院が入っている保険(保険料3,000万円程/年)から支払われることになる為、当然示談案件は議会に報告するべきという意見が出されました。


 また、こういった医療過誤に至らない(議会報告対象とならない)示談案件は過去7年間で15件、示談金額として合計5,258万円が支払われている事も明らかになりました。


 当問題が明らかになり、侃々諤々の議論が行われた結果、市立四日市病院側から今後示談案件に関する報告体制を見直し、医療過誤に該当せずとも積極的な議会、市長への報告体制を検討していくという回答がありました。


 これまで、病院内で留められあまり表に出る事の無かった示談案件が、今後は議会に対する報告事象となります。


 今回の件は、市立四日市病院だけの問題では無く、一般的に多くの病院はこういった示談案件を伏せておく傾向にあります。


 しかし、こういった案件が表に出る事により、一時は不安を与える事になるかもしれませんが、中長期的に見ると確実に院内での再発防止策の構築に繋がるし、市民からの信頼を受けられる開かれた病院に繋がっていくと考えます。


 市立四日市病院が他の病院に比べ、情報公開について一歩秀でた病院になる為に意味のある審議であったと捉えています。