久し振りに今回のブログでは、会計税務ネタを書きます。第2弾のテーマは『協賛金』です。
こちらも先日に少し相談を受けたのですが、
お祭りやまちづくりイベントには欠かせない『協賛金』、
協賛する側において、協賛金は税務上どう処理されるのでしょう。
まず、『協賛金』とは、イベントや事業などに賛同し、そのイベントなどにお金を拠出する事をいいます。
この『協賛金』を拠出する側の税務処理として、「広告宣伝費」「寄付金」の2つの処理が挙げられます。
(事業上の取引がある相手先の場合「交際費」という処理もありますがここでは割愛させて頂きます。)
協賛金を拠出する側が気になる点として、協賛金が損金計上出来るかどうかであると思います。
ちなみに、益金、損金とは税法上の名称で、会計上の収益と費用と似た意味合いです。
益金と損金の差額部分が所得になり、税金が課税されることになります。
損金として認められる部分が多くなると、所得が小さくなり税金を少なく抑えられる効果があります。
具体的な話に戻りますと、『協賛金』を
「広告宣伝費」として処理すれば、全額、損金として扱われます。
一方で、「寄付金」として処理すれば、一定の条件を充たした部分しか損金として扱われません。
じゃあ、「広告宣伝費」として処理すればいいではないか、となりますが、簡単にそういかないのが税法なんです。
広告宣伝費として処理するには、企業が事業上、広告宣伝の為にお金を出したという裏付けが無いとダメです。
つまり、「不特定多数の人に対する宣伝効果」と、「その金額が社会通念上妥当な金額である」ことが必要です。
すなわち、パンフレットやホームページに協賛企業が掲載されたり、目立つ所に広告を掲げられたりすること等が必要です。
そういった実態が無い様な協賛金ですと、「寄付金」として扱わねばなりません。
お金だけ出すといったケースです。
法人税法上、寄附金は次の4種類に分類されます。
(1)国又は地方公共団体に対する寄附金
(2)財務大臣が指定した寄附金
(3)特定公益増進法人に対する寄附金
(4)一般の寄附金
今回の協賛金のケースですと、大半が(4)一般の寄付金に該当しますので、(4)について少し詳しく説明します。
一般の寄付金の場合、損金算入限度額の範囲内で損金計上が認められます。
損金算入限度額の計算式は以下の通り。
損金算入限度額 = ( 資本基準額 + 所得基準額 ) × 1/2
資本基準額=期末における資本等の金額×当該事業年度の月数/12×2.5/1,000
所得基準額=当該事業年度の所得の金額×2.5/100
例えば、資本金1,000万円、所得が1,000万円の企業ですと、137,500円が損金算入限度額になります。
また、資本金300万円、所得が300万円の企業ですと、41,250円が損金算入限度額になります。
この水準を高いとみるか低いとみるかはそれぞれですが、損金算入限度額を超える寄付金処理は損金に認められません。
ここで、広告宣伝費として処理したケースとの差が出てきます。
ですので、お祭りやイベントの主催者は、こういった点も考慮して、協賛広告等の方法を検討しなければなりません。
お祭りやまちづくりイベントの協賛の裏には、こんなややこしい税法上の議論があるんです。
参考にして頂ければ幸いです。
ブログ上では、専門用語などを極力使用せず、皆様に分かりやすい表現を用いており、内容も簡素化していますので、ご了承下さい。