破魔人 5 | 森ソース

森ソース

絵がからっきし下手な男が小説を書いてみました。

基本的には、短編が多くなると思います。


森ソース-hamabito01

降臨場の中心から黒い煙とも影ともつかないものが現れ、トウマに向かってきた。


「あなたが生まれ変わったなら、また会おう・・・」


その黒いものをトウマは手当たり次第に斬っていった。



森ソース-トウマ1
 

すると、黒いものが消えると同時に、そこからは人の顔が浮かぶ火の玉が天に昇っていった。


「あぁ!ウチのだ!おい皆元気でやってるからな!心配いらんぞ!」


「また母ちゃんの子供に生まれて来ておくれ!」


「ありがとー!お前のお陰で幸せだったぞ!」


妻、子供、恋人・・・火の玉が昇る度に、ある者は大粒の涙を流しながら・・・ある者は大きく手を振りながら・・・様々な境遇の人々が様々な人々に向かって最後の別れの言葉を叫んでいた。


一方、スズの思いとは裏腹にギンジの姿は現れていなかった。


「お父さん・・・」


「はぁ、はぁ、ギンジさん、成仏していたのか・・・スズちゃんにとっては残念だろうが、本人にはそれが一番だ」


そして遂に、全ての黒いものを斬り終わるとトウマは降臨場から出ようと、人々の待つ柵の方へ向かった。


すると突然、太陽の光が途切れ、トウマの背後から巨大な影が出来た。


「スズーッ!!」


背後から大声にトウマは驚愕の表情で振り返った。


「これは・・・未練の余りそんな姿になったのか!ギンジさん!」


そこには巨大な黒い鬼が立っていた。