最近は「成果主義」という言葉を聞くことも随分と少なくなりましたが、この言葉が使われるときは相変わらず「(短期的な)個人業績に応じて賃金に差をつけるという考え方」といったニュアンスで捉えられているようです。
しかし、人事マネジメントを有効に機能させる「成果主義」とは、そのような一面的な定義でなく、「あらゆる施策を組織の成果志向を高める方向で組み立てていくこと」こそが真の意味と言えます。
そして、それは日本の会社が、将来にわたって最重要視しなければならないことだと、私は考えています。
なぜなら、少子高齢化で右肩下がりの経済、かつ国際競争が激化する環境の中で生き残っていくには、より高い成果(=価値ある生産物やビジネスモデル)を生み出していくしかないからです。今に始まったことではない‘自明の原理’ではありますが、成熟してしまった社会において成果を出し続けることは簡単ではありません。だから、「(真の意味の)成果主義」で推進しなければならないということです。
ところが、今の社会からはそのような危機感はほとんど感じられません。
最近、働き方改革とか過重労働の問題が取り沙汰されることが多いですが、「生産」「付加価値」自体をアップさせることによる労働生産性向上にいかに取り組むか、という話は、少なくともニュース等では見た記憶がありません。このあたりに個人的には非常にもどかしさを感じています。
「働きやすさ」の追求はもちろん大切なことですが、経済発展・会社業績向上が伴わなければなかなか改善も進みませんし、法律等で強制的なルールを作ったとしても「働きやすくなったが、年収はどんどん下がる」といった‘衰退のシナリオ’に乗ってしまう可能性があることを肝に銘じておきたいものです。