「おかえり。」
瑞穂の声に驚く。
「あっ。う、うん。帰りました。」
あの日以来、変に意識してしまう。5つも年下の男の子なのに。
恭太に似た男の人、センターには中性的な男の子、瑞穂。見た目は違うのに雰囲気が似ていてほっとけない存在。こんな時の相談相手は泰輔だ。
「なんか、アンナらしいね。」
「私らしい?」
「優しいんだよ。俺にだって子供の時めっちゃ面倒見てくれてさ。まぁそこに俺は惚れたんだけどね。」
「けど、振られて荒れたんだよね。高校も中退するって。笑える。って、何の話だったっけ?」
「何だっけ?まあ、アンナは優しくて勘違いされるって事。」
「よく分かんないけど・・・。ありがとう。泰ちゃんが居てくれてマジで助かる。」
「はいはい。そういう所が勘違いされるってこと。まぁ、またいつかご飯行こ。じゃあ」
昔から泰輔との会話に嘘がない。ありのままの思っていることが素直に話せてしまう。
数日後、泰輔とご飯に行く事になった。瑞穂がふてくされながら、
「良いなぁ。アンナちゃんだけズルい!」
「また今度行こうね。おいしいランチのお店知ってるから。ねっ。」
瑞穂の頭をポンポンと軽く叩き泰輔との待ち合わせに向かう。