きれいな夕日を男女が手をつないで見ている。
「やっと一緒に見れたね」
彼女が言うと、彼は優しく微笑みながら、抱き寄せる。
「どこにも行くな。ずっとそばに居ろ。分かったな」
意地悪な顔で、意地悪な声で囁く。
「どこにも行かないよ。行きたくない」
強く彼を抱きしめる。
~10年前~
高校の入学式。
クラス表を見てはしゃぐ生徒たち。
「えっ?同じクラス?やった~」
「マジかよ。おまえと同じかよぉ~」
そんな中を静かに通り過ぎ、黙って座る男子。
「何?めっちゃ冷めてない?何あれ?かっこつけてるの?ダサっ」
ざわつく教室。
ひと睨みをして教室を出て行く。
「ちょっと。もう直ぐ入学式始まるよ」
女子が声をかける。
「だから何?別に出なくてもよくない?適当にごまかしといて」
「私が?なんで?もう!!」