先日はクラシック音楽の演奏会に行ってきた。
オーケストラ・ダスビダーニャというアマチュアオーケストラだ。
「ダスビダーニャ」とは、ロシア語では別れの言葉。
しかし、「また、会いましょう」という意味も含んでいるらしい。
このオーケストラは、ロシアの作曲家「ショスタコーヴィチ」の
曲を専門に演奏してるオケである。
マニアックと言ったらば、相当マニアックだと思う。
ショスタコーヴィチは、ロシア革命から第二次大戦と、
戦乱の時代に生きた作曲家で、重く、悲壮な曲が多いのだ。
そんなショスタコーヴィチの曲の中から、この日演奏されたのは
5つの「バレエ組曲」より抜粋
交響曲第4番 作品43
曲の持つ意味などは、私のようなド素人が書けば
墓穴を掘るだけなのでサクッと省略…ヽ(;´ω`)ノ
開演前にパンフレットを見ていたら、ある記事がふと目に止まった。
オーケストラ団員の記事で、あらすじは以下のようなものだった。
去年、まさに3月11日(震災より一年後)に演奏会を開いたダスビは
東日本大震災の義援金を募っており、それを被災地に届けに行った。
そこで筆者はほぼ純銀製のトランペットと出会う。
このトランペットは震災で亡くなった方の遺品だという。
持ち主は、仕事も軌道にのり、少しゆとりができて若い頃にやっていた
トランペットを再開した矢先に地震による津波に遭ってしまった。
奥様は亡き夫の形見を側に置くより、夫の若い頃からの夢だった
オーケストラの舞台に連れて行くことを望んでいた。
しかし、重くて扱いづらい純銀製のトランペットはなかなか吹き手が
見つからずにいたが、地元のオーケストラの方が
「ショスタコーヴィチを吹くにはぴったりかも」
と、話はつながっていった。
筆者はこのトランペットを預かることにためらいもあったが
義援金がきっかけで出逢ったのだから、
故人を舞台にお連れしよう、そして音楽作りの楽しさ、舞台の熱気、
お客様の暖かい拍手をお伝えしよう。
それが役目だと決心する…
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開演時間がやってきました。
楽団員がそれぞれの楽器を持ってポジションに着き
上段にトランペットの奏者が並びます。
その中の一人の手にはしっかりと銀製のトランペットが握られていました。
交響曲第4番は、15曲あるショスタコーヴィチの曲の中でも
最大のオーケストラ編成で、最も技術的に演奏至難な曲
と言われています。
その超至難な曲でトランペットは初デビューしました。
演奏後のカーテンコールの大きな拍手の中で銀色のトランペットは
奏者の手で高く掲げられました。
持ち主の方は、空の上で
「な、オレのラッパはよく鳴るだろう」
なんて言っているかもしれません。
会場で配られたアンケート用紙に川柳、和歌などを書く欄があったので
「被災地に とどけ ダスビの春一番」
とだけ書かせていただきました。
春一番のように時には嵐のような熱演でした。
辛く、厳しい冬も春一番が吹けば必ず春がやってきます。
東日本大震災から二年がたとうとしています。
人は何のために生まれてくるの?
幸せになるため?
違うよ、感動するためだよ。
何かを見たり聞いたりして心を動かし、涙したりするのは人間だけだもの。
そんな話を聞いたことがあります。
この日も生きていることに感謝し、人間として感動させていただきました。
ありがとう、オーケストラ・ダスビダーニャ。
ダスビダーニャ。また来年会いましょう。
