こんにちは.


いつもありがとうございます。


昨日こんなニュースがありました。




このニュースを見たとき、どういうことだろう??と不思議に思いましたが、色々と調べてみると、こうだったのではないか?という答えが見つかりました。






滑走路には滑走路の端(長方形の形)を示す「滑走路灯」と、その中心線を示す「滑走路中心線灯」があります。「滑走路末端灯」などという灯火もありますが、今回は省略しまして。。。


あるサイトを見ると、当該JAL機は離陸滑走開始後、滑走路の中心線ではなく、滑走路の左端を走ってしまったように見えます



google mapから。情報元にHideが独自に作成



これだと、滑走路灯を踏みつけてしまいます。滑走路灯は、滑走路中心線灯と違って踏みつけられるように設置されていないので、接触すると機体にも灯火にもダメージが及ぶ可能性があります。


なぜこのようなことが起こるのか?


まず、これは結果的に灯火への接触を報じられているので、パイロットにミスがあったことは残念ながら事実だと思います。

そのまま離陸を継続せずにGTBされたことから、コックピットでも異常を感じたのだと思います。


パイロットが二人も乗っていながら、なんでそんなミスが起こるの?と思われるかもしれません。


私も当事者ではないですし、詳しいことはまだわかりません。

しかし、仮に今回のサイト調べが正しく、滑走路左端を離陸滑走してしまったとすれば。。。あり得ない話でもないような気もします。


色々お話したいことがありますが、、、、


まず今回のような夜間、様々な要因が重なれば「中心線」と「滑走路の周囲の線」を見間違うことが100%ないとは言い切れません。

私も副操縦士時代、隣の機長が「誘導路中心線」と「誘導路灯(滑走路灯のように周囲に設置されている灯火)」を見間違えそうになり、「こっちですよ」とアドバイスしたことがあるからです。

人間はエラーをする生き物だといういうことは以前からお伝えしている通りです。

そのエラーを、もう一人の人間が気づき、修正することも、事故が未然に防がれる一つの方法です。


今回JAL機が滑走路灯と接触した羽田空港は、そのエラーが起こりやすい空港だとも言えます。


1:混雑しすぎていて常にハリーアップシンドロームに脅かされる

2:重要な滑走路灯火が何ヶ月にも渡り不点灯が続く

3複雑な誘導路と滑走路運用


今回は特に2についてお話しますと。。。


今回の滑走路05(D滑走路)は、何ヶ月にも渡り(もっと長いかもしれません)、滑走路中心線灯が不点灯です。つまり、夜間中心線は見えません。滑走路灯を不点灯なはずの滑走路中心線灯と誤って見てしまうことも、なきにしもあらずというのは先に説明した通りです。(普段事故が起こらないのは、パイロットがお互いNOTAMという情報を把握して、お互いが気をつけながらモニターして運航している賜物なんです。)。

羽田空港はそのほかA、B滑走路も同じ状態で、必須ではないものの、全然修理させる気がないんじゃないか?と思わざるを得ないほど長期間にわたり様々な滑走路灯火の不点灯が続いています。

日本を代表する羽田空港がこんな状態です。。。。


今回の滑走路も、滑走路中心線灯が点灯中であればミスを防げますし、パイロットの離陸滑走の助けにもなります。


予算の関係なのか何かわかりませんが、長期間灯火未点灯を放置状態なのは世界的にも非常に稀です。


更にいえば、混雑が半端なく、着陸機が連なるB滑走路の着陸後の高速離脱誘導路灯も不点灯が続いています。

正直、これは本当に困ります。

日本人でもあまり羽田に行かないパイロットは困りますし、着陸後の高速走行中に見えない離脱路を管制から指定、更に後続機のために急かされるなんて、外国のパイロットにとってはあり得ないことでしょう。


先述の通り、今回はパイロットがミスをおかした可能性が高い一件ではあります。

しかしパイロットにミスをさせやすい状況が何ヶ月にもわたり放置されているという事実も皆さんに知っていただきたく、ブログをかきました。


パイロットというのは、いかにこういった「スレット」を予測し、対策し、ミスに繋がらなくするかを常に考えています。

スレットは少ければ少ないほど、パイロットに余裕が生まれ、結果安全性は更に向上します。


羽田空港は日本を代表する大空港ですが、スレットが多く、個人的にはとても疲れます。

その原因は上に挙げた3つが大きいのですが、ハード面で改修できるところはすぐに改修するという意思が感じられず、現場任せ、人任せの運用が続いています。管制官もきっと大変でしょう。


今回は最新のニュースについて、羽田空港の問題点をメインにパイロット的な考え方をお伝えしました。


Hide