おはようございます。
早くも国土交通省が交信記録を公開したようです。
異例の早さです。何らかの意図があるのでしょうか?
私も個人的に交信記録を聞いてみましたが、全く記事にある通りでした。
また以下の記事に当日の機内の様子について詳しく書かれていました。
この便は副操縦士がOJTで操縦していたのですね。
つまりコックピットには3人いたということです。
これは理解が難しいかもしれませんが、他機種の副操縦士資格はあるがA350の資格はまだない、という移行訓練中の操縦士が右席に着席する場合はコックピットにA350の資格を持った副操縦士(あるいは機長)が別に(補助席に)座ってなくてはならないことになっています。だからコックピットには3人いたのですね。
副操縦士が訓練中とはいえ会社のシラバスに沿って操縦をすることはよくあることですので、ご心配なさらぬように。
少しずつ明らかになってくる事故当時の状況ですが、本当に困ったのはメディアに出てくる一部の「元機長」です。
可能性の話ならまだしも勝手に結論づけたり、現役ではない古い知識のままなので的外れなことを言ったりします。
その人たちを重宝し、印象的な見出しにするためにさも断定したかのような表現をするメディアも悪いと思いますが。。。
私たち現役世代からすると、そこまで言う必要ないでしょう?と思ったり、いやそれは違うでしょ。と思うことが多いんです。
航空事故に関しては私もそうですが素人なので、あくまで説明や可能性の話にとどめる必要があります。
今回の事故は犯人探しではなく、今後どうしたら防げるのか?を焦点にしなければなりません。
どうすれば滑走路誤進入を防ぐことができるのか?特にハードウェアの点で充実が求められます。
以前説明したことがあったでしょうか?Runway Status Lightというのですが、例えば着陸機が滑走路に近づいている時は赤いライトが点灯して滑走路への誤進入を防いだりする優れた航空灯火システムです。
これを大規模空港にもっと積極的に導入することも考えなくてはならないかと思います。
また羽田空港の超過密スケジュールも大きな問題です。「急いで」という文言(expedite,immediate)を頻繁に言われるとパイロットの心理的にも影響が大きくなります。
どうしても「誰が悪いか」をクローズアップしてしまう日本ならでは?の嫌な文化ですが(マスコミの質問もそうですよね・・・)、あなたが当事者ならどうなの?絶対にミスしないって言い切れるの?と聞きたいところです。
様々な要因が重なって事故となっています。
再度言いますが、事故の全ての要因を突き止め、今後同じシチュエーションでも決して事故が起こらないような予防策、回復策を考える機会にしなくてはいけません。
そして賞賛されるべき点もたくさんあります。
日本航空の客室乗務員の迅速な緊急脱出の実施、荷物を持たずに冷静に指示に従った乗客の皆さん。素晴らしかったと思います。以前同じ日本航空で新千歳空港で雪の中、緊急脱出をすることがありました。その際には乗客の皆さんが手荷物を持って脱出しようとし、大変な混乱が生じました。その教訓が活かされていると感じました。
ただ動画撮影自体は・・・特に緊急脱出時には禁止されていますよね。
証拠映像となる利点もありますが、ただ単に自己承認欲求のため・・・と思われる映像もあるのは残念です。そしてメディアもそれを使うので・・・時代的に撲滅するのは難しいのかもしれません。
そして飛行機自体もよく頑張りました。
かなりの衝突エネルギーにも関わらず原型を留めたまま、乗客が緊急脱出を完了するまで耐えてくれたA350もやはり素晴らしい飛行機です。
海上保安庁の5名の方々が亡くなってしまったのは本当に悲しい事実ですが、震災援助に駆けつけようとしてくれた勇者たちに改めて感謝と追悼の意を表したいと思います。
揚げ足取りのような報道やメディア質問にどうしても嫌な気持ちになってしまいますが、事実は事実として捉えながら未来の航空安全につながる考えをしていければ・・と思っています。
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