おはようございます。

 

いつもありがとうございます。

 

昨日は旅客重量が平均値を用いることをお話しました。

 

頂いた質問の中で、少しお話しておきたいことがあったのでご説明します。

 

 

旅客機には「最大離陸重量」というものがあります。

読んで字のごとく、「その重量以上では離陸してはいけませんよ」という重量です。

 

この重量ですが、基本的に製造会社が決めているんですが、その重量未満で運航会社が別途設定している場合があるんです。

 

さてその理由は?

 

 

昨日も書きましたが、「着陸料」というものが関係しています。

 

 

空港に着陸するためには、「最大離陸重量」から計算された「着陸料」を支払わなくてはなりません。

 

その値段は・・・

 

民営化されていない空港の場合、1800円/1tの着陸料がかかります。(最大離陸重量201t以上の航空機の場合)

(他にも機種ごとの騒音レベルで課金されるんですが今回は省略します。)

 

例えばボーイング747−400の国際線仕様では、最大離陸重量は396トンです。

この飛行機が一度着陸すると、71万2800円の着陸料がかかります。

 

 

ボーイング747−400の場合、旅客、貨物を満載しても10時間以上フライトできる能力がありますが、日本国内でそんな路線はありませんよね?

いいところ4時間未満しか飛行しないので、そんなパフォーマンスは宝の持ち腐れであるばかりか、着陸料を無駄に支払っているようなものです。

 

ということで、国内線に就航する場合は「最大離陸重量を性能より低く設定する」ことで、国内線就航に必要充分なパフォーマンスを得ながら着陸料も本来より安く運用することができるんです。

 

ボーイング747−400には国内線仕様の−400Dという機種がありました。この飛行機の最大離陸重量はANAとJALで若干異なっていました。それぞれの会社に適した最大離陸重量を独自に設定していたからでしょう。

 

例えばANAの−400Dの最大離陸重量は(ある時のデータなので変更された可能性はあります)276トンでした。着陸料は49万6800円です。

 

 

 

上記国際線仕様の−400と比べると、一便あたり21万6000円も安い計算です。

これが一日7回着陸したとすると、その差150万円以上・・・

 

 

 

航空会社にとっては、特に航空機を多頻度運航するにあたり着陸料はとても大きなコストです。そのコストを少しでも抑えるため、旅客機が持つ最大のパフォーマンスをあえて使わず、会社毎に適した最大離陸重量まで落とすことをしている会社もある、というお話です。

 

国内、国際共に使うボーイング737,767,777,787、A320,321なんかは

国内線、国際線で最大離陸重量を変えて運用している良い例ですね。

 

機内誌の後ろにある機材紹介で「なんでこの飛行機は航続距離がこんなに短いの??」と聞かれた場合は、あえて性能を制限しているだけでホントはもっと長距離を飛行できる能力がある、と教えてあげられたら格好いいですね!

 

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