おはようございます、今日もB737のすごさについて書きます。

 

コックピットの動画を見た方の中で、よくされる質問があります。

 

「あのスラストレバーの下で高速回転してる黒いやつはなんですか?」

 

見たことない方は、「B737 コックピット」でYoutube検索してみてください!

例えばこれの16分30秒以降ぐにも記録されています。

 

 

 

 

 

「しゃーしゃーしゃー」とか「ガシャガシャ」というかなり大きな音ですのでお分かりいただけるかと思います。

 

余談ですが、こんな動画を海外ではアップできるんですね。日本では到底不可能です。もっと皆さんにパイロットのことをお伝えしたいところですが、様々な制約があって難しいのが現状です・・すみません。

 

こんな動画を使いながらの解説ならばできるんですが、このブログでは難しいですね・・

 

 

さて、この音の正体ですが、「スタビライザー」の音です。

 

水平尾翼は2つのパーツに別かれていて後部がエレベータ(昇降舵)として操縦桿の押し引きで操作されます。前部がスタビライザーといって、この黒いホイールが繋がっている部分です。

 

 

操縦桿を引いてエレベータを機種上げ方向に動かしますが、そのままだとずっと舵圧をかけ続けなければなりません。そこでスタビライザーを操作することで(操縦桿の指の部分で電動で動かします)操縦桿の舵圧を抜いています。これを「トリムを取る」といいます。小型機では必須の操作ですが、B737でも同じようにやっています。

 

 

このスタビライザーに関しての事故がB737MAXで続けて起こったのですが、その解説はまた機会があれば。

 

 

ということで、あの黒いホイールの正体は、手動操縦のときにトリムを取るためにパイロットが操作しているスタビライザーの動きを表現している、とご理解ください。

ちなみにオートパイロットが作動しているときも動きますが、特に大きい動きをするのは離着陸やゴーアラウンドの時です。

 

しかし、あの黒いホイールはむき出しなのでなかなか危険です。

フラップが出ているときは高速回転するのですが、その時に誤って触ったりするとヤケドしたりしますので要注意です。

 

ちなみにA320はオートトリムなのでトリムを取る必要がありません。先日説明したNormal Lawから2段階ダウングレードしたDirect Lawになると、よく似たこの黒色のホイールでスタビライザーを操作してトリムを取りますが、レアケースです。

 

B737のすごさは、軽飛行機など飛行機としてベーシックな部分の操作がそのまま適用できるという、操縦が大好きなパイロットにとっては魅力的な操縦特性をもったジェット旅客機だというところです。

 

「B737は楽しいんだよ!」というベテランパイロットが多いのも、こんな理由からなんです。

 

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