再び飛行機操縦の話題です。

 

今日は「横風着陸」について。

 

Youtubeでもたくさん上がっていますが、この「横風着陸」はなかなかの難易度です。

 

 

離着陸に関して言えば「正面からの風」に対してはどれだけ強くても問題にはなりません。といっても、空港によっては10KT程度でもラフエアーになることもありますし、例えば台風で40KT程度も吹かれるとどんなに気流の良い空港でもウィンドシアーが発生することが多いです。

 

対して、「横風」には制限が設けられて、「最大横風値」といいます。その値は機種によって異なります。また、滑走路状態(濡れていたり積雪している状態)によってその値は小さくなります。

横から風が吹くと、飛行機は風上に機首を向けながらTRK(トラック)を滑走路延長線と同じに維持して進入しなければなりません。

 

  (ボーイングではTRKが上に表示されています)

 

車でいう「ドリフト」状態です。飛行機ではCRABといいます。カニです。

例えば北向きの滑走路で、西から30KTの風が吹いていると、WCA(HDGとTRKの差)は10°程です。

つまり、飛行機は真北に向かっているけど、飛行機死自体は10°左、350°方向を向いているということになります。

 

コックピットでも、機種が左を向いているので少し右の方を見ながら飛行機を滑走路方向に向けているわけで、なかなかの違和感です。

 

初心者あるあるは、この見え方を嫌って自分の真正面に滑走路を持ってきたがります。その結果、飛行機はどんどん風下に持っていかれる、というものです。見え方を予想し、「これが正常」と思いながら操縦しないと横風着陸はうまくいきません。

 

さて、接地までこの姿勢を維持すると、接地後にどうなるでしょうか?

ドリフトで着陸することになって、ラダー操作をしっかりしないと滑走路を逸脱してしまいます。

 

そこで、Wing Lowという方法をフレア開始後に行います。De-Crabともいいます。

ラダーで機種を滑走路方位に戻しながら、風上にバンクを入れます

 

バンクを入れすぎるとエンジンや翼端などを滑走路に接触させるため、非常に難しいテクニックです。

そのため、強風のときはCRABとWing Lowをミックスした状態で着陸する場合が多いです。

 

最後までラフで風が変化している場合などとても神経を使いますし、自分の中でもバンクやピッチによる滑走路接触を防ぐために各限界値に余裕を持ったオペレーションを行います。安全を阻害する事象が起こりそうならば躊躇なくゴーアラウンドを行います。

 

次回はゴーアラウンド、着陸やり直しについて説明します。

 

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