夏に憧れる時、それは冬の真っ最中だろうと、春になろうとしている最中であろうと、大抵は気持ちがむらむらする時であろう。

あなたはそうではないですか。であれば謝ります。

ですがわたくしはそうなのです。

なんとも言えない潮風の甘ったるさに、わたくしは勝手にひとりでそそられて、行き場のない思いを、サングラスにかくして、そうやっていつも夏を凌ぐんです。

はっきり言って夏は、それ以外にわたくしにとってもたらすものがありません。

だって、暑くて、ワンピースにも救いがないし、冷房よけのためのケープが役に立った時には少し幸運を感じるけれど、あんまりお出かけしたくないんだもの。

わたくしは今まで、キリストに恋をするようなカテリーナみたいな、そんな気持ちでいたけれど、もう違うの。

あくまで生身の赦しが欲しいだけだったことに気が付いたの。

だから荊の冠をつけて快感を感じたりしないし、わたくしの体についた棘や虫を払ってほしいの。

なによりの快感はそこじゃないかしら。

わたくしだって、お相手についた棘や虫を払って、薬品漬けの水にチャポンと入れて、2度と寄せ付けないようにして差し上げたいんだもん。

夏は、そんな憧れが倍増する季節なの。

夏の暑さに恐れ慄くわたくしと、むらむらの到来にどきどきしてしまうわたくしと、2人分いるの。

流行病に罹ってしまうから、もうあまりお祭りには行く気にならないけれど、お祭りの匂いを思い出したりして、今年の夏を乗り切ろうかと、今からそう考えているのですよ。