もーれつアロマ太郎


雑誌「美STORY」の最初に、谷川俊太郎氏の詩が載っていました。

数週間前に購入した雑誌なのに、今頃気付いた。

とても魂こもった詩です。涙がこぼれました。


タイトルは「できたら」


拝借させて頂きます。




できたら


笑顔で微笑んでほしい

できたら

愛に我を忘れて

その瞬間のあなたは

花のように自然で

音楽のように優雅で

そのくせどこかに

洗い立ての洗濯物の

日々の香りをかくしている


かけがえのない物語を生きてほしい

できたら

小説に騙されずに

母の胸と

父の膝の記憶を抱いて

涙で裏切りながら

涙に裏切られながら

鏡の中の未来の自分から

目をそらさずに


時を恐れないでほしい

できたら

からだの枯れるときは

魂の実るとき

時計では刻めない時間を生きて

目に見えぬものを信じて

情報の渦巻く海から

ひとしずくの知恵をすくい取り

猫のようにくつろいで


眠ってほしい 夢をはらむ夜を

目覚めてほしい 何度でも初めての朝に