<前回の続き>


空から見ると香川県は高松市街地は薄い雲で小雨が降っているようだが、岡山側はクリアに見える。肝心の高松空港辺りだけがもやに包まれている。


『なんであんな霧の出やすい場所に空港を作ったんだろう・・・。』


ジィサンとバァサンはもうなんだかパニック寸前だ。


機内アナウンス「え~着陸できない理由をご説明します。空港周辺に濃い霧がかかっており、着陸時に確認すべき着陸灯が視認できません。


着陸灯が600m先に見えれば、滑走路に降りることができますが、それ以下の距離である場合、減速が間に合わないため着陸不可能となります。」



『へぇ~そうなのか~。』



「地上からの連絡では700mまで視界が開けているとの情報でしたが、当機からは600m以下での視認が精一杯でした。


再度、霧の晴れるタイミングを待っておりますので、しばらくお待ちください。」


するとスチュワーデスがシートから身を乗り出して誰かに声をかけている。


スチュワーデス「お客様、いつ着陸態勢に入るかわかりませんので、シートを戻してください。」


例の893がシートを倒している。


893「あぁ?ったく・・・。」と言ってシートを戻した。

ちなみにシートベルトマークが出ているのでスチュワーデスもシートに座った状態だ。


5分ほどしてまたスチュワーデスが身を乗り出した。


また893だ。今度はテーブルを出したようだ。


『893のくせに肝っ玉の小さい・・・何かしてないと落ち着かないんだろうな・・・。』


もれはJALの人達はプロだから信頼するしかない。そう思っていたせいか、恐怖感は全く無かった。それどころか眠くなって寝てしまった。リラックスしすぎかな・・・?



しばらくして「ポ~ン」という音で目が覚めた。


機内アナウンス「機長です。当機は10分後に最後の着陸を試みます。これでも着陸不可能な場合、東京羽田へ引き返します。ご了承ください。」


『ついにラストチャンスか・・・。』


「天候はさきほどとほとんど変わっておりませんが、タイミングによって目視距離が700m以上出たりを繰り返しているようです。」


するといきなり、「ピンピロリ~ン」という電子音。


『こ、これって・・・。』


携帯の音楽だ。


スチュワーデスも驚いて音の方を見る。また893だ。

今度は携帯の電源を入れたようだ。


スチュワーデス「お客様!携帯の電源を入れることは法律で禁止されております。」


893「あぁ?すぐ切るわい!」

と言いながら何か操作をしている。

ピポピポという音が10秒ほどして「つながらへんワイ」


『あほか!当たり前だろう・・・。時速何キロで飛んでると思ってるんだ・・・。』


スチュワーデス「お客様!」

893「わぁったわい!」

電源を切った。


なんてはた迷惑な・・・。


さて、いよいよ最後の着陸チャンスが来ました。


<つづく>