まいど

<前回のつづき>

最後の直線でもれの目に飛び込んできたのは、アンカーヤス氏が自転車にまたがって手を振る姿だった。

『よっしゃ!もうちょっとや!!頑張ったる!!!』

対するユータ氏のアンカーイエロ氏は・・・

前からネガティヴ徒然草を読んでくれている人は、イエロ氏の奇天烈な人物像を憶えているだろうか?

詳しくは

http://more778.ameblo.jp/more778/entry-10017511936.html  

をご覧ください。

※↑の記事を先に読んでくれたほうが、良いかも

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対するユータ氏のアンカーイエロ氏は・・・

自転車に乗ってない!

ってか、ドロンコ遊びしとるやないかっ!!

気付いたユータ氏が「イエロ氏!!自転車に乗れや!!」と叫ぶ。

イエロ氏もビックリしてこっちを見たが、既に10mもない。

もれは暫定1位でヤス氏にタッチ!

イエロ氏はヤス氏に遅れること20mほどでスタートしていった。

さらに遅れる事、50mほどで林川氏がユーフン氏にタッチ!

アンカー対決になった。

もれは自転車から降りて、ヘアピンでコケたユータ氏の様子を見ようと近づいた。

もれ「ユータ氏、大丈夫やったか!?」

ユータ氏「死ぬかと思った。でもすり傷で済んだわ~。」

もれ「ほんまやぞ。あそこ、茂みを突き抜けたら10mくらい転落するとこや。」

ユータ氏「え!?ほんまに!?知らんかった~。」

知らぬが仏だったかもしれない。いや、知ってたらそんな無茶はしなかったか。

もれ「林川氏も随分遅かったなぁ。坂の下まではほぼ一緒やったのに。」

林川氏「いかんわ・・・あんな所で父ちゃんに捕まるとは・・・。」

そう、もれ達とすれ違った軽トラックは林川氏の父親が運転していたのだった。

林川氏が言うには、危ないから二度とこんな遊びをするな!と怒鳴られたそうだ。

もれ「それであんなに遅れとったんか~。」

林川氏「父ちゃんがおらんかったら、もうちょっと差が無かったはずや~。」

ユータ氏「運が味方してくれたわ~。」

そうこう話しているうちに10分ほどが経過してヤス氏が最後の直線に飛び出してきた。

と、すぐ後ろからユーフン氏も飛び出してきた!

デッドヒートの結果、2m差でもれ達のチームが優勝となった。

もれ「ユーフン氏はやっぱり速いのぉ。ほとんど一緒やったなぁ。」

ユーフン氏「あと100mあったら逆転できたかもしれんかった~。」

ヤス氏「必死やったわ~。」

お互いの健闘を称え合っていたとき、ふとユータ氏が呟いた。

ユータ氏「あれ?イエロ氏は?俺ん時は2位やったのに、どこで抜いたん?」

ユーフン氏「??あれ!?俺、イエロ氏なんか抜いてないぞ?

ヤス氏「俺も抜かれてないよ。

一体、どういうことなのか!?

誰からともなく、

「イエロ氏の事やから、コース間違えたんと違う?」

「あほやなぁ」と笑っていたが、さらに10分ほど待っても帰ってこない。

「怪我でもしたんかなぁ?」という誰かの言葉で、捜索隊が出動する事になった。

こういう時は下級生は待機、上級生の出番だ。

ユーフン、もれ、ヤス氏の上級生3人で出動。捜索されるイエロ氏ももれと同級生なので上級生なんだが・・・。

ユーフン「よっしゃ、俺がコースを逆回りする。もれとヤスはさっきのコースで回ってくれ。」

今回は捜索なのでそんなにスピードは出さない。ヤス氏が前を走り、もれが後続で走る。

風呂池に差し掛かったところで、もれがふと気付いた。

もれ「ヤス氏!ここってこんなだった?」

ヤス氏「憶えてないなぁ」

風呂池に差し掛かった辺りの土が、周りと少し違う色になっている。

すると「助けて~」という緊張感の無い声がする。もれとヤス氏はギョッとして自転車を停めた。

違う色の土の部分から風呂池を覗き込むと、イエロ氏がニコニコしている。

イエロ氏「登れんから助けて~」

ヤス氏「な、なんしょんや!!?(何してるんだ?)」

イエロ氏「落ちた。

もれ「落ちたって・・・よくもまぁ、今まで溺れずにおれたな。」

イエロ氏「ここ浅いからな。」

もれとヤス氏が手を伸ばしたが、イエロ氏は左手だけを伸ばす。

もれ「届かんだろ?両手伸ばせよ。」

イエロ氏「でも、そうしたら自転車が・・・」

『はぁ!?』

イエロ氏の胸から下は水に浸かっているので、よく見えないが、どうやら自転車に乗ったままの体勢で落ちてるらしい。

もれ「えらい傑作な格好で落ちたもんやな・・・。」

ヤス氏「自転車は諦めろ!」

イエロ氏「いやわ~(嫌だ・・・方言ではなく、イエロ氏の口癖だった)」

もれ「でもそのままやと、引き上げられんやろ~?」

イエロ氏「・・・じゃあ諦めるわ~。」

やっと二人で引き上げたら、イエロ氏の下半身はドロドロの緑色だった。

それもそのはず。風呂池は常に水が緑色の水草で覆われている。

風呂池に落ちたら大変な事になる、という常識がもれ達の地区の小学生の間に広まったのは、この時からだ。

スタート地点に戻ってしばらくすると、ユーフン氏が戻ってきた。

ユーフン氏「イエロ氏・・・なんや!?その格好は!」

イエロ氏「落ちたんや~。」

ユーフン氏「ど、どこに?」

もれ「風呂池。」

一歩間違えれば大惨事だったんだが、イエロ氏のキャラがそうさせるのか、みんなで大爆笑となった。

チャリンコレース・・・今となっては危険極まりないなぁ。

ちなみにイエロ氏は自転車のことを叱られるのが怖くて、親に黙っていたらしい。

が、下半身緑色で帰宅したら怒られないはずがない。こっぴどく叱られたそうだ

自転車の事は親に黙っていたので引き上げられず、新しいのも買ってもらえないので、どこへ行くにも歩き。

校則で禁止されていたんだが、クラスの数人で市街地へ遊びに行ったそうだが、その時も一人だけ歩きだったそうだ。片道5kmくらいを走ったらしい。しかも市内の別の小学生に追いかけられ、イエロ氏だけ逃げ遅れたそうだ。

踏んだり蹴ったりのイエロ氏だが、夏になると香川は水不足で溜め池も干上がる。この時を待ってもれ、ヤス氏、イエロ氏で自転車を引き上げに行ったんだが、案の定、錆び付いていた。

それでも歩きよりマシってことで、イエロ氏はキシキシ言わせながら、その自転車に乗って帰宅した。

イエロ氏の親も自転車を見て、大体のことは想像したらしく、結局、どでかいカミナリが落ちたそうです。

もれ達が小学生の頃って、こんな無茶な遊びしてましたよね~。今のチビッコ達には、想像できないだろうなァ。