もれがうどん屋で夕食を摂っていると、教会のシスターが3人入ってきた。かなりの高齢で最年長の人は60代だろうか。あまり目にする機会がないので、今日はこの人達をウォッチング。
注文を取りに来た店員に対して、最年長のシスターが注文したものは、「特上天釜セット」であった。天婦羅と釜揚げうどんのセットなんだが、もれの食している親子丼セットの2倍強の金額だ。
『シスターってお金持ちなんだろうか・・・?』
二人目は一番若いであろう人(といっても50代か?)で、「私は量が食べられないから」と、釜揚げうどんを注文した。三人目は二人の間くらいの年齢だろうか。「私もこの数年小食なのよ。この量は無理ね。」と天ざるうどんを注文した。
この店では贈答用のうどんが陳列されていて、シスター2人は席を立ってそれを見に行った。最も若い(といっても50代か?)のシスターだけは席を立たずにぼ~っとしている。
すると陳列棚の前にいた二人の声が聞こえた。
「これなんかいいわね。」
「讃岐の夢2000ね。」
讃岐の夢2000というのは香川県産のうどん専用に育成された小麦で、これを用いたうどんは非常に美味しい。ただかなり高価だ。
「でも高いわ。」
「そうね。あの人達だったら、こっちの安いので充分でしょう。」
『!?』
「そうね。どうせわからないわ。」
『シスターといってもやはり人間か。』
席にうどんが届いた。
店員「特上天釜になります。」
すると陳列棚の前にいた二番目に若いシスターが戻ってきた。
「ああ、それ私のね!おいしそう。じゃあいただきます。」
箸を割って食そうとする。
『あれ?特上天釜って、最年長の人が注文していたんでは・・・?』
箸をつけようとした瞬間に店員が次の品を持って来た。
店員「天ざるうどんです。」
すると二番目に若いシスターが「あ!私、そっちだわ!」
あやうく最年長のシスターのうどんを食べてしまうところだった。
最年長のシスターは「ああ、そっちが私のなのね?」
二番目に若いシスター「私、いつもこれ食べてたから、間違えてしまうところでした。」
『あれ?この数年小食なんじゃなかったの?』
店員「贈答用のうどんは決まりましたか?」
最年長「あそこの棚の中でイチバ~ン安いのはどれ?」
物凄く「一番安い」が強調されている。
店員「これになります。」と持って来た。
「ああ、やっぱりこれね。じゃあこれを包んでください。」
店員「当店のうどんは包装紙がないんですが・・・。」
「あら、そうですか。まあ、あの人ならそんなこと気にしないでしょう。」
「そうよ。どうせ味だってわかりゃしないわ。」
『ここまで言われるあの人ってどんな奴なんだ・・・。』
悶々としながら店を後にした。