もれは今週月曜日から今日まで、ある仕事にべったりだったので更
新できなかった・・・。その月曜日の話。
もれは電車で客先へ向かっていた。ある駅でどっと乗客が降りて、
もれの隣も空いた。そこへ乗ってきたのが本日の主人公、北島の
おっさん(仮名)だ。もれとは面識がないどころか真っ赤な他人だ。
見るからに普通な北島は、電車の入り口を入ると左右を見て空いて
いる席を探している。と、もれの隣の空きを見た。
『来やがった!』
北島はもれの横に向かって歩いてきて、斜め前でこっちを見た。
『すみません。少し寄ってもらえますか?って言うつもり?充分な
幅が空いているだろ?』
空席の反対側は細身の女の人(仮名細川さん)なので、1.3人分く
らいの余裕がある。
北島「気持ち良い~。」
『!?』
『聞き間違いか?』とも思ったが、北島はシートに腰かけながら
「あ~・・・。今日、気持ち良い~。」と呟いている。
『きょ~気持ち良い?シャレか?』
北島を挟んで反対側の女性細川さんは完全に引いている。
北島「ふぅ~・・・。なんて気持ち良かったことか・・・。」
『なんて変な奴だ・・・。』
と、北島はおもむろにカバンから本を取り出した。
【六法全書】
『!?』
北島「民法XX条 ○×△・・・」
『す、すげぇ!!暗唱しているよ!この人!!!』
ひとしきり暗唱が終わると六法全書の民法を開き、先ほどの条文の
ページをぺらぺらとめくった。もれは気になってXX条を横から覗く。
『!?・・・全然違う・・・。』
北島「刑法○○条 △△○■・・・」
また暗唱している。もれは笑いをこらえていた。暗唱が終わると同
じように刑法○○条のページを開く。覗いてみた。
『やっぱり全然違う・・・。』
細川さんが思わず「ぶふぅっ!」と吹き出した。
『もれと同じ事考えてたのか・・・。』
が、北島は全く意にも介さず、暗唱している。
もれはだんだん飽きてきたので、車内刷りなどを見ていたが、細川
さんはいまだにツボに入っているらしく、ずっとクスクス言っていた。
『新手のナンパかもしれん・・・。』
もれの下車駅に着いた。もれが階段を登っていると後ろから物凄い
勢いで階段を駆け上る奴がいる。北島だ。
『なんだ。北島もここで降りるんだ・・・。』
北島はもれを追い越してそのままトイレに駆けこんだ。
『トイレか・・・。』
もれは階段を登り終えて切符を精算し、改札を出た。すぐ後ろから
「今日、気持ち良い~。」という声。振り向くとやはり北島がいた。北
島はそのままもれと反対方向へ歩いていった・・・。
ついこの前、怒れる親父の話を書いたが、変な親父も多いな。
教訓:暗唱する時は声に出さないほうが良い。間違いない!