もれも人のことを言えるような人間ではないけれど 電車に乗るとふと、人間観察めいたことをやってしまう。

もれは仕事帰りに電車に揺られていた。 関東に住んでいる人ならわかると思うが、上野と成田を結ぶ私鉄だ。

もれは所用で上野に向かっていたんだが、成田空港始発と言うこともあり、 車内には外国人旅行客が結構乗っていた。

もれの隣の親切なオジサンが、そのまた隣の女性外国人に 彼女の目的地までの行きかたを教えている。

※女性をキャサリンと仮名しよう。理由は無い。全国のキャサリンさんごめんなさい。

 

片言の英語なのだがキャサリンが頷いているところを見ると、 それなりに通じているようだ。

どうやらキャサリンは五反田へ行きたいらしい。

 

この私鉄から五反田へ行く方法は複数あるが、メジャーなのは 「日暮里駅でJR線に乗り換える方法」と 「青砥(あおと)駅で都営地下鉄線に乗り入れしている電車に乗り換える方法」だ。

 

オジサンは「五反田・・・」と少し考えて「上野だな。」と呟いた。 キャサリンにしてみたら、ちょっと格好良かったかもしれない。

 

キャサリン「Ueno?」 オジサン「ユーゴーツーウエノ、オーケー?」 キャサリン「Yes!」 オジサン「ユーゴーツージェーアール、オーケー?」 キャサリン「JR?」 ちょっと首を傾げながら観光用の路線図を見ている。 オジサンは路線図の上野を指差した。 キャサリン「Ueno,OK!」

オジサンはそのまま五反田までを指でなぞった。

キャサリンは深く頷いて駅の数を数え始めたが、乗っているのは特急だった。

特急の停車駅まではその路線図には書いてなさそうだ。

オジサンは特急の停車駅まで教えてはじめた。 『なんていい人なんだ。きっとこういう人が仲人とかやりたがるんだろうな。』 と心の中で密かに毒を吐いてみた。

 

オジサン「ディスイズトッキュー、オーケー?」 キャサリン「?」 もちろん通じない。

 

オジサン「特急は・・・スピードハイ!」 もちろん理解できてない。

 

オジサン「特別急行だから・・・スペシャル・・・スピード?」 キャサリンは窓の外を見てスピードを確認している。

 

オジサンは既にいっぱいいっぱいなので、路線図をなぞって停車駅を数える。

オジサン「ファーストストップ、オーケー?」 キャサリンが頷いた。これは通じているぞ。

 

オジサン「セカンドストップ、サードストップ、え~と次は・・・なんて言うんだ?」 オジサン「フォーストップ、ファイブストップ」 キャサリンも何となく理解しているようだ。

 

オジサン「セックスストップ」 瞬間、周りの席の乗客が揃って顔を上げたがオジサンは気づいてない。 キャサリンも少し周りの様子をうかがっていいたが オジサンがそのままカウントするのでそちらを見る。 『ベタな・・・』

 

上野まで数えたところでオジサンの下車駅に到着。 オジサンは「グッドラック!」と言って出ていった。 キャサリンは笑顔で見送ったあと、すぐに路線図を確認している。

 

ちなみに上野駅はこの私鉄の終点だから数えるまでもないのだが、 それ以前に上野での乗り換えはちょっと大変だ。

 

東京近郊に住んでいる人にはイメージが沸くかもしれないが、 上野でJR線へ乗り換えるには駅を出て2,3分外を歩かなくてはならない。 駅を出る方向さえ間違えなければ問題無いのだが、 そこまで教える余裕はオジサンには無かったようだ。 もしかしたらそのことを知らなかったのかもしれない。

 

しばらくして青砥駅に停車、ホームの反対側に来るであろう電車に乗れば、 五反田まで一本で辿りつけるがキャサリンは全く知らない。

 

ここでこれを読んでいる方は『どうしてもれは教えてあげないのか?』と思っただろうか。 もれはナイーブかつネガティブなので、どうしても傍観していたかったんです(?)。

 

日暮里駅に到着。 路線図で日暮里駅でも同じJR線に乗り換えられると気づけば良いのだが、 キャサリンは既に上野駅に○を付けてしまっている。 日暮里駅であれば階段を上るだけでJR線への乗換えが可能だ。 しかし無慈悲にもキャサリンを乗せたまま電車は発車してしまった。 ※もれが無慈悲なのか・・・?

 

上野駅到着。 時刻も22時と結構遅いのでここでの時間ロスはキャサリンにとっても厳しいはずだ。 さすがのもれも 『出口を間違えたらJR線まで案内してあげようかな・・・』 などと思いながら席を立つ。

 

ドアが開いた。と同時にキャサリン猛ダッシュ! 『えぇっ!?そんなにお急ぎだったの?』

 

もれも気になって早足で改札を出る。 もれが駅を出た時、反対方向へ向かって猛スピードで走っていくキャサリンのうしろ姿が見えた。 既に追いつける距離ではない。

 

『キャサリン・・・。すまん。』と思いながら目的地へ向かった。

 

あのまま五反田までは走れないだろうし、どうなっただろうか・・・。 そしてオジサンはきっと「今日いいことしちゃったよ。」と晩酌しているのだろう。

 

*** 本日の教訓 *** 1.外国人から聞かれないと、自ら進んで「Can I help you?」って言えないよね?(おそるおそる) 2.「six」って言うとき、いつもよりちょっとだけ発音に気をつけてしまうよね?

 

ブログ初投稿がこんなんでごめんなさい。