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リビングのソファに座って早々、京介くんは嬉しそうに私の隣を陣取った。

 

 

 

京介「ねえねえ、○○さんこれ見てよ」

 

 

○○「ん?封筒?」

 

 

京介「中身、見てみて」

 

 

 

封筒に書いてあるのは、私でも知っている大手ブライダル雑誌の名前だ。

 

 

中には花嫁と花婿の華やかな写真が何枚も入っていた。

 

 

 

京介「俺さ、このブライダル雑誌のイメージモデルに選ばれたんだ」

 

 

京介「この間、初回の撮影が終わったところ」

 

 

○○「そうだったんだ。京介くん、お疲れさま!」

 

 

 

確かにどれも雑誌の見開きに出てきそうな写真ばかりだ。

 

 

2人の幸せそうな笑顔が眩しい。

 

 

 

○○「・・・・・・わあ、すごい。どれも綺麗だし・・・・・・京介くん、きまってるね」

 

 

京介「へへ、ありがとう!花婿特集だったからいっぱい目立たせてもらっちゃった」

 

 

 

本物の花婿さながら、花嫁に寄り添いエスコートしている。

 

 

花婿特集とだけあって目立つ位置や、いたる場所で京介くんが微笑んでいた。

 

 

 

(流石、京介くん・・・・・・かっこいいな)

 

 

京介「それでね、ちょっと○○さんにクイズ!」

 

 

○○「クイズ?」

 

 

京介「問題!この撮影中、俺はどんなことを考えてモデルをしていたでしょうか?」

 

 

○○「え、ええ・・・・・・?そうだなあ・・・・・・」

 

 

 

ほんの少しだけ考えて、私は口を開く。

 

 

 

○○「『早く帰りたいなあ』・・・・・・?」

 

 

京介「うーん・・・・・・それって○○さんの願望なんじゃ・・・・・・?」

 

 

○○「ううん!今のナシ!『おなか減ったなあ、お弁当楽しみだなあ』とか!」

 

 

京介「違いまーす」

 

 

○○「『この衣装、高そうだなあ』・・・・・・っていうのは・・・・・・?」

 

 

京介「違うね」

 

 

○○「あ!『あまりにスローな進行で欠伸出そう』は!?」

 

 

京介「確かにゆったりめの進行だったけど欠伸はしなかったな。違うよ」

 

 

○○「んー、じゃあ、ええと・・・・・・」

 

 

 

私は時間をかけて考え込んで、それから真面目に回答する。

 

 

 

○○「『雑誌を見た人に結婚したいと思わせるぞ』とか!」

 

 

京介「わ、すごい」

 

 

○○「正解なの!?」

 

 

京介「すごく真面目な答えだなあって感心しただけ。でもハズレ」

 

 

○○「うー・・・・・・そっかあ」

 

 

 

私はうなだれて両手を小さく挙げた。

 

 

 

○○「ギブアップ。降参です。京介くん、正解をお願いします」

 

 

 

私が心の中で白旗を振っていると、京介くんは少しだけ考えるような素振りをとる。

 

 

 

京介「・・・・・・ねえ、○○さん」

 

 

○○「なに?」

 

 

 

うつむいていた顔を上げると、いつになく真剣な面もちの京介くんと目があった。

 

 

 

京介「逃げないで聞いてくれる?」

 

 

○○「あ、うん・・・・・・た、多分」

 

 

 

ずいっとソファに座る距離を詰められても、私は逃げられない。

 

 

目線を外したくても視界には京介くんしかいない。

 

 

 

京介「あのね・・・・・・俺の隣に○○さんがいるって考えてた」

 

 

○○「私?」

 

 

京介「うん。○○さんが、笑顔でいてくれるといいなあって」

 

 

(それって私が見ててくれるって思いながら撮影したってことなのかな)

 

 

 

同時に、別の考えも浮かぶ。

 

 

 

(それとも・・・・・・花嫁さんを私だと思ってたってこと・・・・・・?)

 

 

 

必死で深く考えないようにしている私の目の前で、京介くんはにっこりと笑ってみせる。

 

 

 

京介「俺、見てみたいな」

 

 

(なにを!?いやいやいやいや。深読みしすぎない・・・・・・考えない考えない)

 

 

○○「今、京介くんは目の前で・・・・・・見てるんじゃないかな」

 

 

 

対してぎこちなく、私も照れ笑いを浮かべた。

 

 

一瞬だけ驚いた後の京介くんの笑顔は、さっき見た写真のどの表情よりも素敵で彼らしい。

 

 

 

(でも、私も、いつか・・・・・・見てみたいなあ。撮影用じゃない、京介くんの花婿姿)

 

 

 

期待と願望とも覚束ない感情が、私の中でぐるぐると渦を巻いた。