**************************************

 

 

 

京介『こんな議論続けてもムダだろ』

 

 

京介『あいつを逮捕できるのは俺だけだ…!』

 

 

京介『‥‥‥いつまで待たせるつもりだ』

 

 

京介『あんな小細工も見抜けないような無能じゃないだろう、お前は』

 

 

 

**************************************

 

 

 

○○「すごい‥‥‥本当に別人みたい‥‥‥!」

 

 

京介「そうかな?まだ甘い気がするけど」

 

 

 

京介くんは、どこか突き放したような目で自分の演技を見つめる。

 

 

今日は京介くんが主演した二時間ドラマの放映日。

 

 

演じるのは、「横暴な面もあるけど情熱と優しさを持つ刑事」と「頭脳明晰で冷徹な完全犯罪者」の一人二役だ。

 

 

 

○○「ねえ、この先どうなるの?」

 

 

京介「‥‥‥へぇ、そんなに教えて欲しい?」

 

 

京介「ちゃんと自分の頭で考えてみろよ」

 

 

 

薄く笑う京介くんに、心臓がどきりと音を立てる。

 

 

 

○○「っ‥‥‥」

 

 

京介「なんてね。でも、教えないよ」

 

 

京介「楽しみは後にとっておかないと」

 

 

 

今度はニヤリと笑ってみせる。

 

 

まるでドラマの役と同じように、くるくると表情を変える京介くんに思わず拍手してしまう。

 

 

 

○○「すごい、本当に全然雰囲気違うね…!」

 

 

京介「○○さんはどっちが好き?」

 

 

○○「えっ?…うーん‥‥‥」

 

 

 

答えられずにいると、ソファのヘリにドンッと手をつかれる。

 

 

 

京介「もちろん、俺の方がいいだろ」

 

 

○○「っ…!」

 

 

 

まっすぐな瞳に見つめられて、目を逸らすことができずにいると今度は指先で顎を掬われた。

 

 

 

京介「…今日は君が好きな方で、遊んであげる」

 

 

京介「で、どっちにする?」

 

 

○○「っ…ふ、ふふ…!」

 

 

 

…人間はあまりに緊張しすぎると笑ってしまうのかもしれない。

 

 

 

京介「えー、そこで普通笑うかなぁ」

 

 

○○「ごめん、なんか許容量超えちゃって…つい」

 

 

京介「許容量?」

 

 

○○「うん。恥ずかしいのと、ドキドキしてるのと、まぁ色々‥‥‥」

 

 

京介「そっか。まぁ、どっちも喜んでくれたんならいいんだけど」

 

 

○○「それはもう…!あっ」

 

 

 

思いの外、力強く頷いてしまって恥ずかしさがこみ上げてくる。

 

 

 

京介「ははっ、もう○○さんは可愛いな」

 

 

 

京介くんがぎゅっと私の頭を抱きしめてくれる。

 

 

それがすごく嬉しくて、胸の奥がきゅっと締め付けられた。

 

 

 

○○「あっ、わかった」

 

 

京介「うん?」

 

 

○○「こんな風に普通に笑ってる京介くんが、一番好き」

 

 

京介「‥‥‥」

 

 

○○「ものすごくドキドキするってわけじゃないけど…でも、一番好きだよ」

 

 

京介「…そう言われると、ちゃんとドキドキさせないと」

 

 

○○「えっ‥‥‥っ‥‥‥」

 

 

 

京介くんの手がつうっと私の背中をなぞる。

 

 

 

○○「あの、お手柔らかにお願いします…」

 

 

京介「やだ」

 

 

○○「っ…!」

 

 

 

楽しく笑い合う時間も、穏やかに過ごす時間も、ドキドキする時間も。

 

 

二人一緒なら、どんな時間だって幸せなのだった。