これは、私が彼らと出会う1ヶ月前の話。


その立地から、一般に"桜田門"の呼称で親しまれている、警視庁。


6階、捜査1課で、5人の捜査員が膝を突き合わせていた。



朝霧「・・・・・・つまり、□□〇〇はマトリに取られたということですか」



朝霧司はおもむろに腕を組んで、ため息をつく。



服部「そ。入庁はまだだけど、承諾はしたらしいね」


服部「そろそろ研修に入るとか入らないとか・・・・・・」


服部「あーあ。がっかりだよ」


菅野「早っ」


菅野「□□〇〇って、例の薬効体質の女の子ですよね」


菅野「見つかったばっかじゃありませんでしたっけ」


芝「抜け目ないな、マトリの連中」


芝「女の子ならウチに欲しかったのに」


荒木田「おっさん」


荒木田「□□〇〇が欲しかったのは、薬効体質だからでしょう」


荒木田「性別は関係ない」


服部「・・・・・・そうだった」


荒木田「あんたもですか、耀さん」


朝霧「・・・・・・俺は、薬効体質だからこそ要らないと思います」


朝霧「体質が人と違うだけの無能な人間なんて、単なるお荷物でしかありません」


芝「あーあ、エース様は凡人に手厳しいね〜」


朝霧「大体、□□〇〇も浅慮過ぎます」


朝霧「そんな体質を持ちながら、誘われたからといってすんなりマトリになろうと思う方がどうかしてる」


服部「よりにもよってマトリに、って?」


朝霧「そうとは言ってません」


菅野「はは、確かに」


菅野「口では言わず、心の中で思ってるだけですよね」


朝霧「・・・・・・」



朝霧はその問いには答えず、チラリと目だけで菅野を一瞥した。



服部「ま、裏組織の連中に持ってかれなかっただけマシなんじゃない?」


荒木田「だとしても、裏の連中がこのまま黙って見てると思うんですか」


服部「まさか」


服部「そりゃ一波乱あるんじゃないの」


菅野「どうします?」


服部「どうしようか〜」


服部「悩むよね」


荒木田「とても悩んでる顔には見えませんけど」


芝「いつものことじゃん」


朝霧「・・・・・・」



ユルい上司に呆れるように、朝霧は、こめかみを指先で押さえて深いため息をついた。


エリートだけど、実は超体育系?


ピリッとした空気感をまとう彼らと、激動の日常が始まるのは・・・・・・


もう少し先の話。