「生命式」村田沙耶香

「点と線」松本清張

「水たまりで息をする」高瀬隼子



高瀬隼子の「水たまりで息をする」はハンガンの「菜食主義者」の逆パターン。

夫がある時からお風呂に入らなくなり、だんだんと常軌を逸していく。


狂える夫を妻は恐れつつ、それでも彼を尊重し、どこか羨ましくすら感じているようで、最終的に実家の田舎に匿うように移住するほど、世間や義母から夫を守る。



「菜食主義者」はその反対で、下着をつけず肉を食べなくなった妻に対して、親族は鼻から猛烈にバッシングし、拒絶する。



狂った人の思ったように行動したり、身体を素直に反応させる反射神経は、世間体でガチガチに固まった人にはどこか羨ましさを感じさせる。


タガを外して生きてきたい欲求が、誰でも心のどこかにある。



例えば怒ることも。

中国や韓国の街中で、怒りに身を任せて捲し立てるみたいなケンカを目にすることがたまにあるけど、自分にはその声を上げることも今後一生できないと思う。


周りの目が気になるし、そもそもその反射神経が全くない真顔


なりふり構わず、感情の赴くまま身を任せるその勇気、そういう神経を保っている人は、弱いのか強いのか、考えさせられた。