11/30 スタッフ勉強会資料


ウィルスタッフは展示会のない時は週三回、勉強会のための出勤があります

昨日は業界紙掲載の特集記事
誰が和装産地を殺すのか』パート3
~振袖問題と京友禅の課題~

の資料が配られ、店長による勉強会でした

18歳成人の法改正に伴う呉服業界への様々な影響

振袖需要の形が多様化(レンタル率の上昇、ママ振の増加)など)しているため購入者減少の実態

などなど

とても細かく分析された記事でした

実際に十数年前に比べて近年の振袖市場が1000億円くらい縮小しているそう

フォトスタジオ併設など、様々な新しいサービスを取り入れたレンタル業者が増えたので

購入する人が少なくなったことはわかりますが

母親・姉や親戚の振袖を仕立て直して着用する人が増加したことも主要因に上げられる程とは少しびっくりしました

お下がり着用のことをママ振りというんですね
知らなかった

これは業界としては確かに痛手なのかもしれませんが

いち着物好き&貧乏性人間としては嬉しい傾向でもあります

近年のインクジェット染めセット販売振袖とは全く違う、質の良い個性ある手描き友禅などが

長い期間、閉じ込められてきた箪笥から引き出されて

洗い張りや仕立てかえで美しく蘇り感動していただける瞬間は呉服屋さん冥利につきます

今まで何人もの方のママ振着用をお手伝いしましたが、どの振袖も素晴らしかったのです

大半の方は八掛けの色を変えたり、帯や小物を新調されて

お嬢様の雰囲気や時代に合わせた色合いも取り入れていく過程を楽しんで下さいます

母娘様それぞれの思い入れが詰まった振袖はそのまま大学などの卒業式の袴の時にも着用される方が多いです

当日の写真を送ってきて下さったり

母娘様にとても喜んでいただける振袖のお仕事はとてもやりがいがあります

特にママ振のご相談は大歓迎です



…が、和装産地の痛手の一つとなっているのも事実ならば

これは着物に携わっている者の主観的な考え方かも知れませんが

せめて各自治体で行う成人のお祝いは今後も20歳でして欲しいと願います

18歳で成人式を行う→受験などで振袖やお祝いどころではない→制服で簡単に済ませる

もし将来、このようなことになれば確かに楽だと思います

経済的、状況的に大変な方もいますし、皆が皆、理想的な母娘の関係であるとも限りません

そうなってくれたほうが良いという考えの方も当然いらっしゃると思います

でも、かろうじて残されている日本文化継承の機会がなくなることや

母娘の貴重な想い出を作ることができる機会が失われることになると思うと

数々の嬉しい現場を見てきた者としては、とても残念ですし、さみしく思うのです

そんなことを改めて考えさせられた勉強会でした





ママ振で卒業式
H様のお嬢様