マックスウェルの悪魔・・混ぜてしまった酒と水を再び分離することのできる、ちいさな悪魔。
この悪魔が存在したら、というか熱力学第2法則「エントロピー増大の法則」が必ずしも成り立たなかったとしたら・・
という本。とても読みやすい文面で書いてあって面白い。
「マンガで読む~」、ってのが購買にあって立ち読みしたんだけど、それが面白かったので読んでみた。
以下内容の覚書。
エントロピー増大の法則という法則がある。熱力学の第2法則ともいわれ、第1法則(エネルギー保存則)とともに世の中の現象をつかさどる原理である。第1法則に関しては疑う余地は無い。非常にわかりやすい。(石を高いところから落下させると、位置エネルギーは、地面と石の熱エネルギーにかわる。その熱は瞬間的に周りの空気へ逃げてしまうわけだが。。)
第2法則はというと、確かに正しい。が、もともと統計学的な確率論に基づく論理であるため、第1法則とおなじように認めてしまうには、『いささかのためらいを感じる』 のである。この曖昧な領域から生まれた小人・・・これがマックスウェルの悪魔である。
この悪魔、自然科学の分野のみならず、社会科学にも手を伸ばしている。
世の中の事象はエントロピー、つまりばらつきを減らす方向へと進んでいるのである。
エントロピーが減った状態とはどういうことか。ばらつきが小さい状態のことである。自然に近い状態といってもいい・・・
わかりにくい。
では逆にエントロピーが大きい状態とはどういうことか。
これはわかりやすい。
あなたの部屋は整っていますか?きれいに掃除をして、あるべきものはあるべき場所に整頓されていますか?
ならば、あなたの部屋のエントロピーは大きいといえる。
木を伐って家具を作る、野菜を調理してサラダを作る。都市計画に基づき、ビルを林立させる。
みな、エントロピーを増大させる作業といってもよい。
ではこれらを散らかしてみよう。
建物を壊して都市を焼け野原にしよう。部屋の中を散らかして足の踏み場もないほど物を散在させてみよう。
これがエントロピーの少ない、自然に近い状態である。
あそこもここも同じような状態。熱的観点からみると、熱平衡にある状態。
宇宙の広さが有限だと仮定しよう(この本が出た当時は有限であるという論がまだ生きていた)
世界は熱平衡に向かう。平衡になった時の温度は?
答えは-200°
永遠には人間は(というか生命体は)生存できない
が、そんな先のことを考えずとも人間が絶滅する日は近い。
エントロピー増大の法則に従い人間社会もこれまで以上にばらつきが目立つようになる。
少し昔の日本を思い返せば、普通であることが何となく求められていたと思う。
オカマなんて今のように市民権が得られなかった。
これから先、価値観が多様化して、街で突然叫びだす人がいても、
裸で走り回る人が出ても異常とは思わなくなる時が来るかもしれない。
エントロピーの増大とは情報量の増大とも考えられる。
増幅する情報量に耐えきれず、人間は自滅する。
また、ちょっと話は変わってタイムマシンのはなし
とおいとおい未来、宇宙のすべての物体、温度、光、すべての状態量が平衡化、つまり「あそこ」と「ここ」の区別がつかない状態になったとしよう。まず空間というものがなくなる。(3次元だの4次元だのという話は、こことあそこの違いが存在してはじめてなりたつ)そこでは時間は存在するだろうか?何もなくても時間は過ぎるというかもしれないが、考えてみてほしい。何もない空間で、我々の魂だけが存在するとしよう。我々が主に時間を実感するのは主に地球の公転、自転によるものである。いまの世の中は誕生、衰退、繁栄、消滅などの非可逆的過程が絶えず繰り返されている。これがなくても時間を感じることはできるだろうか。もちろん時計は無い。(振り子時計の文字盤を見ず振り子だけを見、また少し前の振り子の位置を記憶できなかったとしたら・・・)
これら非可逆過程がなくなった極限・・・宇宙の終末
これらを再び元に戻すことができたら、宇宙の終末も回避できるかも…
ということを考えると、現在自然科学の領域に於いて絶対的なものとして扱われている時間や空間についても、必ずしもそうではないのであは無いかという考えも生まれる。
とまあ色々書いてあって面白い本です。個人的にはまだ水飲み鳥は第2種永久機関なのではないかと考えています。笑