Moran Hitomiオフィシャルブログ「沁みついた遠鳴り」Powered by Ameba


「ヒミズ」

Hitomi的評価:75点

ジャンル:ドラマ

劇場公開中

◆ストーリー◆

問題の多い家庭に育ち、決して恵まれているとは言えない環境の中、

「普通」の大人になることを夢見る中学3年生の住田。

誰にも迷惑をかけずに生きたいと考え、

実家の貸しボート屋に集う、震災で家を失くした大人たちと

慎ましい日常を送っていた。

しかし、「普通」である事を望む彼の願いとは裏腹に

住田に次々と困難が降りかかる。

そんな彼に強い思いを寄せる同級生の茶沢。

彼女の夢は、愛する人と守り守られ生きることだった。

茶沢はなんとか住田との距離を縮めようとするが、
疎ましがられるばかりだった。
そんな2人の日常は、ある日を境に
思いも寄らない方向に転がり始めていく。 
  
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何度、泥にまみれてもそれが人生、
○○○れ、○み○!!○○○れ、○っ○○!!
 

原作は「行け!稲中卓球部」の作者でもある古谷実の漫画。
俺は元々この漫画の大ファンで、さらに注目の園子温監督作なので
この映画に対する期待はかなり大きなものだった。

まずこの映画を見て初めて知ったのが「ヒミズ」という言葉の意味。
ヒミズとはモグラ科の一種で、陽のあたる所に姿を現さないことから
「日見ず」という名前がつけられた生き物であるそうだ。


これはまさしく原作の漫画には、相応しいタイトルで
とにかく最後まで救いのない話なのだ。

原作に対してこの映画はどうだったのか、
そこを語るとどうしてもオチに触れてしまいそうなので
ここでは黙っておこう。
ただ、原作との一番の相違点を挙げるならば
震災直後という「現在の日本」に時代設定を置いた事だろう。

これがこの映画の評価を極端なまでに分ける。
要因となっている事は明確で、その設定が最後まで
この作品に色濃く影響している。

正直に感想を言うならば
これは俺が観たかった「ヒミズ」という作品ではなかった。

面白くなかった訳ではないし、涙を誘うシーンや、
園子温のオリジナリティとメッセージ性は
作品中にしっかりと盛り込まれている。
それなのにどうもスッキリしない・・・

まぁ結局は冒頭とオチの部分でどう感じるか、
そこにつきると思う。

良かった点にも触れておこう

前評判通り、主人公二人の演技と存在感は圧倒的で、
この映画の見どころの大半を占めている
特に原作の「茶沢さん」とはかけ離れた二階堂ふみの
キャラは秀逸で、普通の少女を振り切った表情が素敵だった。

加えて、住田を何度も何度も泥にまみれさせる演出や
背景に映り込む天候にすごく気を使っている事にも
メッセージ性や拘りを感じた気がした。


もし震災がなければ、この映画はどうなっていただろう?
もし原作を知らずにこの映画を見ていたら、どう感じただろう?

終わった後、そんなことばかり考えていた。