Moran Hitomiオフィシャルブログ「沁みついた遠鳴り」Powered by Ameba


「リミット」

Hitomi的評価:75点

ジャンル:シチュエーション・スリラー

はじめにこのジャンルと「CUBE」について

「ソウ」の大ヒット以降、ちょくちょく耳にするようになった
「シチュエーション・スリラー」というジャンル

これは密室などの限られた状況の中で
じわじわと追い詰められていく登場人物たちの
心理的な部分からくる恐怖を描いた作品のこと

ソウでいっきに流行となったジャンルだが
「CUBE」こそこのジャンルの先駆けとなった作品であり
内容、完成度共に、頂点だと思っている

シチューエーション・スリラーというくらいなのだから
やはり重要視しなければならないのがシチューエーションだ

「CUBE」はとてつもなく斬新なシチュエーションとアイデアで
明らかに他の作品とは一線を画していた

あの作品には「エレベーテッド」という20分のおまけ作品が
収録されていて、(一部の販売用DVDには未収録)
それもエレベーターの中を舞台にした
シチューエーション・スリラーというところが、また憎い

この作品はあまりにもメジャーなので
俺がいちいち紹介するまでもないだろう

ちなみにCUBEの俺の評価はエレベーテッド含め100点です。
ソウもこれと同じくらい面白いが
外の話はない方が緊張感がより増したのでは・・・
という点から98点くらい


さて本題「リミット」について

イラクで突然襲われ、生き埋めにされたアメリカ人トラック運転手

男が目を覚ますとそこは狭い棺の中
自分のものではない充電残り僅かの携帯電話と、ジッポ

これでわかる通り、この映画において
主人公が取れる行動の幅は非常に「狭い」

この映画に用意されたシチュエーションは
土の中で、棺桶の中・・・という
かつてないほどに、色んな意味で「狭い」シチュエーションなわけだ

しかもこの映画、棺の中以外のシーンは一切出てこない
主人公が携帯電話を使ってやり取りしている相手側のシーンや
過去の回想シーンなど、普通ならありそうなシーンが一切ないのだ

それによって、主人公の息苦しさが、より共感できるようになっていて
その思い切りが、映画を恐ろしくも面白いものにしている

これだけ「狭い」映画のどこに面白さがあるのか
それは携帯電話がカギになっている

主人公は色々な所に電話をかけるのだが
そこから「絶望」「希望」「感動」いろいろなドラマが見えてくる

途中少しダレる部分もあるが
後半からのたたみかけは半端じゃない

非常にうまく仕上がっている

ただし、この映画、いったいどういう気分の時に見ればいいのか
それが難しい。。。

「ソウ」や「CUBE」のようなホラーを見る感覚で見ると
期待はずれに感じる可能性がある

かと言って重厚な人間ドラマが見たい気分の時にも
きっと合わないだろう

ちょっと変わった映画が観たいなぁ・・・って時に
観るぐらいがちょうど良いかもしれない

点数がちょっと辛めなのは、俺もまた、その時の気分と
少し違ったなぁ・・・と感じたから