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歌舞伎座夜の部。

配役は、チラシにて。

 

お目当ては、仁左衛門の「盛綱陣屋」だ。

前回視たのは、歌舞伎座杮落とし公演で、もう6年も前になる。

 

https://ameblo.jp/mop33/entry-11514042694.html

 

そのときの小四郎が松本金太郎(現市川染五郎)で、小三郎は、藤間大河(現尾上左近)で、

今回は、小四郎が勘九郎の長男勘太郎で小三郎が寺島しのぶの長男眞秀。

ひときわ小さい子役が活躍する演目だ。

 

勘太郎君はさすがの演技力を見せつけて、観客の涙を誘うし(驚くことに、ちゃんと足の運びが糸に乗っている!)、

日仏ハーフの眞秀くんは、生けるお人形の可愛さで、

二人ともお父様や叔父様、お祖父様のいない舞台で、けなげにも頑張っていることにも

観客は褒めずにはいられない気分になってくる。

 

そしてもちろん、仁左衛門の盛綱。ただただ素晴らしいのひと言だ。

 

一軍を指揮する将であり、また北條時政には絶対服従する中心という立場。

そんな中、敵方にいる弟と甥の命懸けの計略に、

自身も腹切る覚悟で与することを決めた瞬間の、「したり!」という笑顔。

 

それまでの数々の不審が一挙に晴れて、

弟の腹が読め、健気な甥の切腹という事態に応える道はただ一つ。

 

一家が初めて一つになり、あまりに儚い小四郎の最期を取り巻く。

「ばば様」、「伯母様」、と、今までは敵方だった身内の人々に初めて甘えられる小四郎。

 

母、篝火に抱きしめられ、

伯父盛綱に褒められて息を引き取る。

 

一挙手一投足を見逃すまいと、息を詰めるように見入ったので、

このひと幕が終わったときにはぐったりとする思いだった。

 

 

 

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<ロビーに貼りだされた仁左衛門の盛綱のポスター>

 

余談になるが、

落語の「佐々木裁き」(「佐々木政談」)は、この盛綱陣屋のオマージュだと思う。

 

「四つ目の紋」は、舞台上の重要モチーフとしてあり、

また活躍する子供の名は、「しろきち」(四郎吉)。

 

江戸期最も好まれた浄瑠璃の題材は、「難波戦記もの」。

まさにこの「近江源氏先陣館」は人気狂言で、みんな良く知っている物語。

そこから、時代を江戸期に移して佐々木家の子孫の佐々木信濃守と賢い子供とのエピソードを

紡いだものなのでは?と想像する。

 

ちなみに、この物語の本当の世界は豊臣家が滅びた大阪の戦で、

佐々木家は、敵味方双方に兄弟が与した真田家を表している。

北條時政=徳川家康というのは、鎌倉三代記でもおなじみの、暗黙の了解だ。

 

当月75歳になった仁左衛門。

その輝く演技は、まだまだ老境からは程遠い。

 

 

「雷船頭」では、猿之助の女船頭のあでやかさとコミカルな雷との絡みを楽しむ。

 

「弁天小僧」は、幸四郎の日。

南郷の猿弥がきっちりとした口跡で聴かせる。

幸四郎の弁天はどうかな・・・あまりニンではない気がした。