IMG_2285.jpg

 

仁左衛門の実盛をお目当てに、歌舞伎座夜の部へ。

(配役はチラシにて)

 

IMG_2284.jpg

 

先月75歳という、後期高齢者になられた仁左衛門の実盛。

以前に変わらぬりりしさで、全く、全く、年齢による衰えを感じる事はなかったのは、先月同様の感想だ。

 

このところ、後輩にお手本を見せるかのような一座での主役が続いているが、

今回の実盛も、まさにそういった、第一級品のもの。

 

文楽ではここまで実盛の人形が活躍するということはないが、

歌舞伎ではタイトルの通りの物語をするところが眼目で、

この家のの娘、小万が源氏の白旗を命がけで守りぬき、

実盛が斬り落とした腕がここへ戻ってきたことを感嘆し、人々に語って聞かせる。

 

この場には死体として帰ってくる小万。

ほんのしばらく生き返って、二言三言言葉を交わすが、

 

文楽で、この女の八面六臂の活躍を見ているから、

どうやってこの姿になったのか、がよく分かるのだが、

歌舞伎の舞台でいきなりこれでは、まったく分からないなぁ・・・。

 

ひとえに、実盛の語りだけでここまでのゆくたてを理解しなければならぬ。


長い年月を経て、歌舞伎は演技を洗練させ、引き立てるようにしてきた。

歌舞伎は役者を見せる、魅せる芸能だから、

見得を切ったり、調子を張ったりして、

クローズアップさせて主役を引き立てる。


歌舞伎を観るのも、

丸本ものだと、一々文楽と比べる癖がついてしまった^^;


智・情・理、全て兼ね備えたのが、実盛の人物像だというが、

理に縛られながらも、心は源氏身体は平家と、

情が勝つ。


また、太郎吉(寺島真秀、先月に続き好演!ちゃんと動きが糸に乗ってる!)

との絡みで、人の良さ全開の情に溢れる実盛様もいい!(達磨さんが転んだ、みたいなところ和むなぁ…)


柔らかみのある実盛像だ。


脇では、歌六の瀬尾のハラがいい。

実は、小万はこの男が赤子の時に捨てた子。

この家の夫婦が、我が子以上の愛情を掛けて育ててくれた恩に報いる。


我が命一つで、

娘の死も犬死にならずに済み、

また、孫の出世の手掛かりにもなる。


最期は、孫の手を持って、

我と我が身の頸を斬り落とす@@

所謂、刎頚(ふんけい)…凄まじい死に方だ。


ほとんど少ない出番ながら、

孝太郎の台詞の上手さは、耳に心地よい。

義太夫狂言の台詞回しの上手さは、今活躍の女形のなかでも一級品だ。


米吉が、葵御前で出ている。

先月は無骨な四天王だったから、ホッとする思い。

出の衣装が、町人のもので下げ髪だったからか、

ちょっと粋な風情が出てしまう。

ここは、誰がやっても難しいのかもしれないが…


衣装を替えて、奥方のものになってからは、品もあり、気丈な母だった。


ここは、木曽先生(せんじょう)義賢が、最期を遂げたあと、という後日談だ。


義賢最期、といえば仁左衛門で、この演目にはご縁があるようだ。


先月の盛綱、今月の実盛、

と、義太夫狂言の主役が続いているが、

今一番観てみたいのは、その仁左衛門の義太夫狂言だ。


今後も、引き続き出て欲しい。(お願いします!!)


七月の松竹座は、

義経千本桜の碇知盛が出るそうだが、

仁左衛門はやらないだろうか…

もう一度、観てみたいものだが。


他に、

猿之助大車輪の「黒塚」。

圧倒的に後半の躍動感が素晴らしい!

近頃の照明には、毎回疑問を感じてしまうが…


最後は、

「二人夕霧」。


上方のふんわりとした笑いに包まれる、佳品。

ここでも孝太郎の夕霧が可愛らしく、良かった。

この方も、もうちょっといい役をもらえたらできるのだと思う。そのためには、襲名が必要なのかな?

(この家には、我童があるが…)


鴈治郎、魁春、東蔵と揃っていい顔ぶれ。


千之助の口三味線の手真似が、

しっかりと三味線の構えとバチ捌きになっていた!