<昼の部>
(配役はチラシにて)

 

 
◆色気噺お伊勢帰り
 
◆厳島招檜扇
日招きの清盛
 
◆義経千本桜(二段目)
渡海屋
大物浦
 
 
仁左衛門の知盛に再びまみえんと、
大阪松竹座へ。
 
松竹座での夏の公演は、今年で三年か四年連続で来ている。
 
都合により九州から伊丹経由だったので、30分ほど遅れてしまう。
しかし、それも織り込み済みで、通路側の席を取っていたので、なんとか滑り込む。
 
「色気噺お伊勢帰り」、なんとか筋にも付いていけたし、楽しめた。
鴈治郎・扇雀の息の合った夫婦漫才のような明るい舞台に笑いが絶えない。
 
中で、梅枝の根性悪の女郎のお紺が、異彩を放って面白かった。若いのに、貫禄もある。
 
 
「厳島招檜扇」(いつくしままねきのひおうぎ)
は、仁左衛門の兄、我当の清盛が太陽を招き寄せて、
日没を遅らせたというエピソードの話だ。
 
なんということのない、一幕だが、
病に倒れた我当が、元気な姿を大阪のお客様にお見せしたいというもの。
しかし、完全復活とは言い難く、気の毒なことだ、という思いがしてしまう。
 
時蔵、壱太郎の祇王、仏の白拍子が華やか。
 
次の幕は、その清盛の息子、知盛が主人公になる
「渡海屋」と「大物浦」。
 
仁左衛門の知盛は、平成中村座で、十年ほど以前に見た記憶がある。それ以来だ。
すでに75歳。
あの重い装束を着けて、アクロバティックな幕切れもあり、大丈夫だろうか?
と不安に思う気持ちもあったのだが、
 
渡海屋銀平で出てきた姿を見て、彼だけ全く時の流れの外にいるのでは?
と、思えるような、若々しく凛々し銀平に釘付けになる。
 
初めの、喧嘩(実は馴れ合いの狂言)での胸のすく啖呵の小気味良さ!
ワクワクしてくる。
 
そして、知盛に戻ってから、
ついに幼帝を義経に託して、従容として死に向かう姿は、
悲しみや悔いよりも、できることは全てしおおせた、さあ、喜んで死出の旅に出よう!
 
という、笑顔に込められた思いが、今回感じられた知盛像だった。
観客は知盛の死を惜しむのだが、仁左衛門の知盛はもっと先を見つめていた。
 
死にゆく知盛の笑顔が忘れられない。
 
 
松竹座を出て、このあとは文楽夏休み公演第三部へ・・・