露乃眞・手水廻し
桂吉坊・佐々木裁き
<仲入り>
物真似・江戸家小猫
桂吉坊・船弁慶
年に二回の、吉坊ノ会。
今回は、東京・大阪共にネタは同じだった。
圧倒的な存在感の二席。
今回は、グレードがいつも以上に高かった。
(来られなかった方は、後悔必至のレベル^^;)
吉坊師、すでに芸歴二十年にならんとしているそうだ。
あの見た目とのギャップがあるが、高校生で修業を始められている。
初めての一人の勉強会の思い出が、マクラで語られた。
大阪の山本能楽堂で、1月19日という寒い時期の、手違いによる失敗談。
灯りをすべて点けてもらったら、ブレーカーが落ちたので、
少し落として始めたら、暖房のスイッチが切れたままで仲入りまでいってしまい、
そこで気づいてつけたということ(笑)
三席掛けた中で、師匠の持ってないネタを一つ掛けたいと、「鴻池の犬」をやりたい、
というと、吉朝師が、「それ、やるで」と一言。
持ってたんや。。。
それが、2005年ころのことということだから、
亡き師匠、最晩年のことか。
御立派になられて・・・。感無量。
一席目は、紫色の、地紋の浮き出る、とても粋な単衣の紋付。
「佐々木裁き」は、なんといっても、四郎吉がイキイキとこまっしゃくれて、
可愛い。
反面凹まされる佐々木信濃守の貫禄は今一つといったところだが、
これは、この噺、どちらも素晴らしい、とはなかなか行かない。
どちらか・・になりがちだ。
テンポよく、ダレないしゃべりは、耳に心地よい。
仲入りを挟んで、色物で、小猫先生の動物物真似。
こちらも、絶妙のしゃべり芸で、密かに、親勝り・・・と唸る。
最近、表芸の物まねのみならず、話芸の方もぐっとお上手になってきている。
面白い!!そして、江戸家の伝統を守って、品がある芸だ。
吉坊師のトリネタは、待望の「船弁慶」。
今度は、夏の噺に相応しい薄いブルーの縞の御召し物。
暑い暑い大阪の夏。
やり過ごすのに、舟遊びをした、というのはなかなか優雅なものだ。
長屋住まいの喜六までそんな遊びに誘われるというのも粋なもん。
この喜六は、大変な恐妻家。
妻の雀のお松は、大変な女で、別名「雷のお松」。
その女房の留守に、仲間の清八が誘いにきて、
戻ってきたお松をなんとか言いくるめて家を出る。
三円の割り前分は飲み食いしようと、
貧乏性の喜六のペースが早い!舟の揺れもあったか、
すぐにヘベレケになって、踊り出す。
それを、夕涼みに橋の上に出ていたお松一行が発見したからたまらない。
小舟の船頭に着けてもらい、乗り移ったはいいが、
興奮していて足元が危ないお松は、川の中へ・・・。
浅瀬で、命に別状はなかったが、
藻を頭に乗せて、おどろおどろしく立ち上がったお松は、
知盛の怨霊になる。
ほんとに僅かな、能楽を観た経験しかないのだが、
その中で「船弁慶」はご縁があったか、二度観ている。
シテが前、静御前で、後が知盛の怨霊というのは、歌舞伎と同じ。
荒れ狂う波間に漕ぎ出だす船を表すのは、アイの船頭で、狂言方が勤める。
「その時義経、少しも騒がず・・」は、人口に膾炙した文句だが、
今の人はもう、分からないかもしれないなぁ・・。
そんな場面を思い出しながらの、落語「船弁慶」サゲ手前だ。
お囃子さんは、三味線の師匠が、いいノドを聴かせてくれる。
上方からお連れになったのかな?
今は懐かしい、風情ある大阪の夏の夕景。
テンポも良く、人物の描き分けが的確で、これは、もう少したったら、
味わいが出て来て、吉坊師の十八番になっていくのかもしれないなぁ・・
という、予感の一席。
ぜひとも、先代文枝、小文枝さんの味わいを、いつの日にか。
次回は12月7日だという。
年に二度は、少ないなぁ・・・^^

