第三部 狐忠信

 

 

◆道行初音旅 清元連中・竹本連中

 

佐藤忠信実は源九郎狐・市川猿之助

速見藤太・市川猿弥

静御前・市川染五郎

 

 

◆川連法眼館 

市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候

 

佐藤忠信実は源九郎狐・市川猿之助

駿河次郎・尾上松也

亀井六郎・坂東巳之助

川連法眼・市川寿猿

飛鳥・上村吉弥

静御前・市川笑也

源義経・市川門之助

 

 

三部制の六月大歌舞伎、伺ったのは第三部「狐忠信」。

 

開演時間が6時過ぎで、都心に勤める方なら仕事帰りに立ち寄れるかな?という設定で、当然いつもより短い観劇時間ということで、落語会に行くような気楽さ。

 

しかも、席が3階Bの最前列、宙乗りで引っ込む鳥屋のお隣。すぐ隣を飛んできた猿之助さんが引っ込んでいく!というワクワクドキドキのお席にして、3階Bだから、3000円という、たっぷりとお得な観劇♪

 

源九郎狐という発想は、「源九郎義経」の「義経」は、音読みすると「ギツネ」になる、という言葉遊びみたいなところからか?

という説もあるけれど、面白い発想から、メルヘンチックな「狐忠信」の誕生して、早変わりや欄間抜け、宙乗りなどのたくさんのケレン技が生まれ、私たちは楽しませてもらえている。

 

「道行」のキャスティングで目を見張ったのが染五郎の静御前。

一部で碇知盛を演じる人が、三部で静とは!と、驚くが、意外にも全く違和感なく、真女方にも劣らぬ美しさ。

このときの静の衣装がちょっと見慣れぬもので、パッチワーク風?と思えるような柄行だった。

この染五郎と猿之助ご両人の踊りでの「道行」は眼福。やはり、元気な40代での踊りはいい。

 

先行芸能の能 「八島」からの流れを汲む。ここに出てくる佐藤継信は主君義経を守って討ち死する。これが、狐が化けてる佐藤忠信の兄なのだ。

 

平教経と三保谷(みほのや)四郎とのしころ引き、扇の的、など平家物語でも一番の盛り上がりを見せるこの戦物語は、姿を変えながら日本の芸能に根付いて、江戸時代の浄瑠璃作者にまでたどり着き、この場面ができたというわけだ。江戸時代の観客たちには、よく知ってるストーリーだったに違いない。

佐藤忠信は、継信の弟だから、ここは「八島」を語らなくてはならない、というわけだ。

のどかな桜咲き誇る吉野の山中で、「八島」を語り、踊る。

 

そして、「川連法眼館」。これは、先代猿之助四十八撰の内、とある。

元気いっぱい、歌舞伎座狭しと駆け巡っていた頃の先代が蘇ってくる懐かしい演目だ。

 

当代で拝見するのは初めて。体つきやお顔など、先代に似ておられるけれど、当代ならではの良さもたっぷりと堪能できた。

私が拝見した前日は、トラブルで宙乗りができず、花道を狐六法を踏んで引っ込んだ、と聞く。

 

若干の不安を憶えながらの観劇だったが、見事、フワリフワリと浮かび上がり、空中での狐六法を演じてみせた。

これは、かなり体幹がしっかりと鍛えられないと無理なのだと思うが(きちんとしていないと、ぐにゃりとしてしまう)そもそも、日本舞踊というのが、とにかく体幹部分の鍛えを要求される舞踊だし、もしかしたら、バレエはじめ、総じて舞踊すべてがそうなのかもしれない。

鍛え上げられた技がなくてはできぬ宙乗り。けっして、たんなるケレン技などと笑えぬ、究極の技術だと思う(今は、笑う人などいないかな?先代のころは、まだいたけれど・・)

 

飛んでくる澤瀉屋をしっかり見ました!足の裏まで見届けた!(笑)

 

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