解説 石井徹也  司会 川崎理沙

神田松之丞   青龍刀権次
     仲入り
蜃気楼龍玉   怪談牡丹灯籠より孝助の槍~平左衛門殺し



蜃気楼龍玉師と、講談の神田松之丞さんが、殺しまくる(殺しのシーンを語る)という企画。会を重ねてもう五回目だそうだ。固定ファンも付いている様子の客席。

はじめに、二つの演目の解説が付いた。「青龍刀権次」というのは、談志が落語に移して演じていたようだが、講談を聴く機会がほとんどないので、もちろん初めて聴いた。
江戸から明治に移る時代を背景に、関羽が青龍刀を構えている彫り物のある権次というさえない岡っ引きが、薩摩の侍との悪縁で、牢に入ること3年、再び酷い目に遭い、さらに8年。浦島太郎状態のこの男が、三たび出会う薩摩侍は新政府の高官となっていた。命の遣り取りになる、という場面で読み切り。

長い長い噺の、発端だというが、それでも長い。お疲れさま!殺人シーンは、権次と因縁の薩摩侍の出会うところ。悪態をつく芸者を一刀の元に斬り殺す場面だ。この芸者、自分のことを「あちき」と言っていたが、花魁じゃないんだから、「あたし」でなきゃおかしい(汗)
その後は殺人シーンはなく、激動の時代を背景にひたすら運の悪い、さえない男、権次の堕ち行く姿を描いて行く。最後には、ピストルを構えた「爆裂お玉」なんで毒婦が登場してくるのだが、この女の噺は、解説によると、横道に逸れてスピンオフ的に進んでいくらしい。
講談界も、若い人が元気に頑張っているなぁ、という印象。

仲入り後、「牡丹灯籠」から、飯島平左衛門と孝助のくだり。

じっと目をつぶって聴いていると、一瞬雲助師か?と思えるところがあるくらい、龍玉師は、似ているところがある。雲助師の、人情噺独特のリズムの取り方、語尾の濁し方など、龍玉師はそのままだ。兄弟子の馬石師が、師匠から離れて独自の語り口を確立し始めてきたのと好対照。

解説で、石井氏が「飯島平左衛門は、役で言えば、非常にいい役で、この噺の一方の主人公。(伴蔵に対して)」と言われ、「歌舞伎でやるなら、仁左衛門がやっていい役で、孝助は染五郎・・」と振っておられたが、実際、歌舞伎では仁左衛門さんは伴蔵の方を演られていて、そのとき平左衛門は竹三郎・・ということは、演出が平左衛門を脇筋と捉えていたからだろう。確かに、じっくり聴いてみると、情理兼ね備えた平左衛門をクローズアップした演出での上演があったら、面白いかもしれない、と思った。ただ、どうもこの部分だけだと芝居には地味すぎるかもしれない。いっそ、仁左衛門・玉三郎で「平左衛門・伴蔵」、「お国・お峰」の二役では?などと、想像が膨らむ。現実には無理でしょうけど・・。

龍玉師の語りは、少しも時間を感じさせないもので、え?もうおしまい?と思ったくらいだった。次回は、「真景累ヶ淵」に入るようで、この噺の続きはいつ聴かれるかはわからないが、いつか是非聴きたい。