一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)

寺子屋

  
松王丸仁左衛門
武部源蔵勘九郎
戸浪七之助
涎くり与太郎国 生
百姓吾作松之助
春藤玄蕃亀 蔵
園生の前扇 雀
千代玉三郎

二、道行初音旅(みちゆきはつねのたび)

吉野山

  
佐藤忠信実は源九郎狐梅 玉
早見藤太橋之助
静御前藤十郎

三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)

  
鰯賣猿源氏勘九郎
傾城蛍火実は丹鶴城の姫七之助
博労六郎左衛門獅 童
傾城薄雲巳之助
同 春雨新 悟
同 錦木児太郎
同滝の井虎之介
同 乱菊鶴 松
庭男実は薮熊次郎太市 蔵
亭主家 橘
海老名なあみだぶつ彌十郎





珍しくも、二ヶ月連続の歌舞伎座。今月は夜の部。

ロビー正面に、17世、やや離れて左側に18世勘三郎の写真に、香が手向けられている。心穏やかに18世の写真を見ることができないのは、相変わらず。未だに慣れることがない・・
ひょっこりと、お元気な姿を見せてくれるような錯覚が三回忌を迎えようと言うのに去らない。

勘九郎・七之助の兄弟に、藤十郎、仁左衛門、玉三郎が付き合っての、豪華な顔ぶれになった。

眼目はなんといっても、「寺子屋」だ。
仁左衛門の松王は、数年ぶりか。玉三郎の千代は、相当昔に観たきりのような・・。
息子の首を菅秀才の首と偽りの首実検で、「相違ない!」と太鼓判を押したあとで、激しく咳き込むが、(病と偽っているからそれにかこつけてのものだが)はっきりと、息子の犠牲を悼み、慟哭を咳に紛らわせているところが見て取れた。

この芝居は、後半、ずっとこの小さな犠牲者へのレクイエムに終始する。犠牲を強いた側の主君二人(園生の前・菅秀才)も共に悼むその静かな空間で、ハンカチを取り出し、ハナをすする女性が多かった。

松王・千代の二人がリード。若い源蔵・戸浪夫婦が、必死に食らいつく。二人にとって、かけがえのない一ヶ月だろう。この二人との寺子屋が実現するなんて!とにかくひたむきな舞台だった。

藤十郎は、梅玉と「吉野山の道行」だったが、一面の桜の舞台は季節外れだなぁ・・しかし、齢80を超えてシャキッとした静御前を演じられるのは、凄い!静は、あまり大きな動きもないから選ばれた演目か?

「鰯売」で、若い二人は生き還ったように楽しい舞台を見せてくれた。七之助は声も演技もいい。このまますくすく伸びて、立派な立女形に育ってもらいたいものだ。
廓の場面では、御曹司の遊女達が並んで、次代を背負う女形達を見られて、楽しかった。この中では、さすがに七之助は抜きん出ている(年からいっても当然だが)

季節も意識した、紅葉と菊の舞台。サービス満点のハッピーエンドに、拍手を送りながら、満足して劇場を後にした。