お話 茂山千三郎
鶏聟
聟 茂山正邦
舅 茂山あきら
太郎冠者 茂山童司
教え手 丸石やすし
地謡
茂山千三郎・茂山茂・茂山逸平・鈴木実
後見 島田洋海
栗焼
太郎冠者 茂山七五三
主 茂山千五郎
後見 増田浩紀
武悪
武悪 茂山宗彦
主 茂山逸平
太郎冠者 茂山茂
後見 茂山千三郎
納涼狂言初日、一杯の観客で幕開き。
千三郎さんのお話は、ひじょうに分かり易く、また親しみ易い語り口で、あっという間に時が過ぎる。ああ、もっと聴いていたかった!
「鶏聟」、私は初めて。他の聟入りものと同様、「教え手」というのが、いい加減なことを教えて、なぶる、というパターンだ。なんとも優しい舅は、聟に恥をかかすまいと、これに付き合う。正邦さんとあきらさんの、息の合った鶏鳴が楽しい。これも、「三番三」などと同じく、祝祭的な曲。これでめでたく舞台が開く。
「栗焼」も初めてだったが、地味な曲。ひと言で言うと、「一人附子」?附子は、二人でたべちゃうのだが、これは、一人で、どんどん踏み込んでいって、結局全部食べちゃう!地味に栗を焼くシーンが、なんとも可笑しい。
「武悪」。これは比較的よく出る曲だが、この世代だけ、というのは初めて観た。太郎冠者と主人の出からピーンと張りつめた空気が舞台を支配する。まさに「序破急」で出てくる二人。逸平さんの最初の台詞の張りつめ感が素晴らしい。シェイクスピア劇のような、重厚感。この出だけで、主人役の逸平さん、値千金!
武悪の成敗を命じられた太郎冠者、たばかって討たんとするが、できずに命を助ける。なんていい人なんだろうと思える太郎冠者、はまりすぎ!正邦さんで観ることが多かった太郎冠者だったが、茂さんもいいなぁ・・
宗彦さんの武悪は、前半、役の性根を掴み切れてないような感じだったが、後半の「イチビリキャラ」が抜群!こんな武悪もあったのか!と思ったのは、鳥辺野で主人に出会ってしまい、驚愕して身を翻すところ、身体能力的に、親世代を完全に上回った。ここからの嵩にかかった小悪党ぶりは楽しい!じたい、どんなに「無奉公」だからといって、命を取るというのは無体な話で、逆転する後半は、観客のフラストレーションも解放される。実に面白い、新しい「武悪」が観られた。
十分満足して、横浜にぎわい座に向かった。