開口一番 春風亭一花   たらちね
春風亭一朝        宿屋の富
       仲入り
春風亭一朝        淀五郎


横浜のホールでの独演会は、たいへんに久しぶりだそうだ。いや、それどころか、一朝師の独演会そのものが大変に稀少なわけで、ワクワクしながら出掛けた。

一朝一門の紅一点、一花ちゃん。なんどか師匠に付いて働く姿は見ていたが、高座を拝見するのは初めて。最初、声が女性ならではの高っ調子かな?と思ったが、噺が進むにつれ、全く気にならなくなっていった。おかみさんだけじゃなく、八公も、いいじゃない!まだ寄席に出るのは先になりそうだけれど、寄席で出会うのが楽しみになってくる。

一朝師、高座から客席を眺め回すようにして、例の儀式、「いっちょうけんめい」をやったあたりから、あまりお馴染みのなさそうなお客席をぐっと掴む。お得意の、先代正藏(今年33回忌だそうだ)ネタで笑わせる。何度聴いても可笑しい!

「宿屋の富」は、師匠のトントンといく、イキの良さで、長い噺が全くダレることなく、笑っているとあっという間にサゲが来た。

たぶん、あと1席だろうな、芝居噺かな?という予想はあたり、「淀五郎」。以前聴いたときに、あまり体調がよくなかったからか、今ひとつだったことがあったが、この日は気が入っていた。(ノドの調子を落とされてる感じはしたが・・)

マクラは、ソックリな六代目歌右衛門エピソード。なにしろこちらは実体験の話だから、臨場感が半端じゃない!芝居噺のマクラではおなじみなんだけれども、これも何度聴いても、そのたびに嬉しくてゾクゾクしてくる。(師匠が二つ目で、歌舞伎座の下座を担当していた頃は、私の歌舞伎通いのピーク時かもしれない。そうなると、師匠の笛の音を一度ならず耳にしていたはず!と今更ながら思う)

そんな一朝師の「淀五郎」。なんせ、幕内にいた人の演じる噺なわけで、実際の役者衆のあんな人やこんな人が、おそらく投影されて人物造型されていると思う。もちろん江戸時代とは違うわけだが、実体験が噺にグッとリアリティをもたらす。
秀鶴、栄屋の親方の、淀五郎に判官様を演じてみさせるところ、その目線がいい。ああ、不味い!だけじゃなくて、さあ、どうやってアドバイスをしようという腹があるから、あくまでも暖かい。
この噺はもちろん、フィクションだろうが、門閥社会でのし上がって来た仲蔵と、淀五郎。いかにもそんなエピソードがあったかもしれない、と思わせるいい噺だなぁ・・

一朝師の独演会、なんとか都内でも開いてもらえないものだろうか・・