昼夜の空き時間にコーヒータイム。これで覚醒。夜は気合いを入れてしっかり観た!(笑)
少年期から青年期に移り、「披き(ひらき)」という曲目が待っている。これは、初演のことで、狂言師の修行の節目となるもの。
まずは、「三番三(さんばそう)」普通は、「三番叟」という文字になるが、茂山家では「三番三」。
一昨年からお正月の天空狂言で三番三を舞っている童司さん、この日は装束を着けず、素踊り。ややシルバーかかった色紋付に、卵色の袴。色白の童司さんによくお似合い。8月に、逸平さんで、やはり装束なしの「三番三」を観ているが、若い狂言師さんの色紋付での熱演はいい。この日も素晴らしいものだった。囃子方との掛け合いのリズムが、なんとも心地よい。
千歳で、正邦さんの双子のもう一人、竜正くんが出ていた。ちょっとだけ間違えちゃったのもご愛嬌。難しい台詞を頑張っていた。10年後くらいには、彼も三番三を演じるのだろう。
ここで思い切り笑える「二人袴」。何を隠そう狂言の曲目の中で、3本の指に入る、大好きなもの。
義父に聟の礼をつくしに出掛けるというのに、袴の着け方もわからない頼りない男。しかも、行くのをいやがり、兄に「弁慶の人形を買ってくれなきゃイヤだ、犬ころを買ってくれなきゃイヤだ」と駄々をこねる。兄がなんとか連れていくが、この家には袴が一つしかなく、二人同時に舅の前に出ることができず、一人一人履き替えて出ていくが、二人一緒にと言われ、引っ張りあううちに前後二枚の前掛け状に切れてしまうのを、前にだけ着けて出て行くが・・・
という、なんともバカバカしい、全編笑い通しの曲。茂・宗彦の兄弟コンビは初めて。
そして、これを披けば狂言師として一人前、というのが「釣狐」だ。こんな難しい曲を、二十歳そこそこの狂言師が初演するという。なんということだろう。その年にして、もう16~7年のキャリアがある彼ら。それまでの集大成がこの曲。
まず、面(おもて)を着けることが大変だ(靭猿で経験済みとはいえ)。視野が狭くて、とにかく勘がものをいうらしい。うっかりすると、落ちてしまうのが能舞台の怖さだ。
前半は老僧に化けた狐が猟師の甥を訪ね、「狐を釣るな」と諌めにやってくるのだが、すっかり僧の出で立ちながら、脚は毛むくじゃらの狐。宵闇に紛れて訪れる。ここでは、翁の面。時々狐の本性がにじみ出るセリフ回し。動きも激しく躍動し、途中謡で息が切れるところも・・
狐とバレた後半部分、狐の面を着けて出て来るのだが、この面、おそらくは500年以上も前に打たれたもの。口がパクパクと動く仕掛けで、デザインといい、改めて室町文化の素晴らしさが分かる。
罠を仕掛けた猟師との息詰る攻防。いったんは罠に掛かるが、逃れて去って行く狐。追う猟師。
HANAGATAのおたのしみ、カーテンコールに、「息の上がった」正邦さんは初め出て来なかった。やはり、それだけ大変だったのだろう、と改めて感じ入っていたが、恒例のタオル撒きのときに、なんと狸の着ぐるみで現れた!(笑)それも、なにやら里芋の葉っぱのようなものをさして・・狐→狸となって、笑いを誘う。最後の最後まで楽しませていただいた(昼夜とも、タオルは擦りもしなかったけど)。
年末の忙しい時期の京都遠征はちょっと大変だけれど、また来年も楽しみにしている。個人的には古典が好きなので、例年の現代風脚本のよりも、今年のプログラムはとても楽しめた。役者さんたちは昼夜、大変だったと思うけれど。今年も茂山狂言でおおいに笑えた一年だった。