入船亭扇辰    落語「幾代餅」
    休憩
入船亭扇辰    朗読・短編小説集より「桃子」

東急目黒線洗足駅目の前、休憩時にラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が流れる空間。
落語会とはちょっと縁遠そうな、おしゃれな音楽スタジオという印象。そういえば、巣鴨のスタジオフォーも音楽のための空間だった。案外、落語と音楽、同じ場所でいいのかも?

年4回、落語と朗読の会を催すことになったということで、記念すべき第一回。入船亭扇辰師は、朗読の方も名手だから、楽しみに伺った。

まずは落語、ということで、「幾代餅」。扇辰師では初めて。搗き米屋の旦那がいい。さっぱりとした江戸っ子ながら、吉原へ清三を送り出す所など、なんとも情があって、扇辰師ならではの優しさが滲む。丁寧な一席で55分。たっぷりと堪能した。

さて、朗読は、高座から下に降りたスペースで椅子に座られて始められた。
ところが・・いきなり、相当のきわどいシーンから始まったものだから、ちょっと緊張が走る客席。「いくらお子さんが客席にいないからって、師匠、そ、そんな噺、昼間っから・・」と焦ったが、一転、主人公が相対していたのは人間ならぬ牛の「桃子」だとわかり、緊張が解ける客席。何食わぬ顔で続けながら、師匠、絶対心の中でガッツポーズしてたはず!(笑)やられた~・・・

開拓農家の年取って乳が出難くなった牛の「桃子」を巡って、その子をどうするか、頭を悩ます一家の主。彼の娘は小学生ながら「才女」といわれる存在で、開拓村に電気が敷かれ、電灯が点いたことを祝うセレモニーで作文を披露される。そこで、「桃子」は6人目の家族。その桃子の牛舎にも電灯を点けてあげたい、という純真な(!)作文に感動した主人は、桃子を処分するという決心を覆すのだが、母親は、「才女」の娘が、その作文をわざと書いて父に翻意を促すことにしたのだと見抜く。なにはさて、「家族」が欠けることにならず、よかった・・というエンディング。

岩手県の山間部で、厳しい開拓民の生活を詳しく描かれていて、師匠の台詞が、なんともその土地の感じが漂って来るものだった。新潟県出身の師匠。岩手弁と、共通している所もあったのかも・・(両方とも、寒い土地柄)

1時間20分ほどの長講。さすがに、ちょっと腰が疲れてしまった。師匠も、お疲れになったのでは?

次回は、隅田川馬石師で、やはり落語+朗読の会ということ。こちらは、ちょっと想像がつかないのだけれど、きっと面白いでしょうね。馬石師が何を題材に持ってくるか、も楽しみ。

また、次回も伺いますね。