開口一番 柳亭市助    一目上り
隅田川馬石        名人長二より「お白州・大団円」
             寄席踊り「かっぽれ」
       仲入り
五街道雲助        お富與三郎より「島抜け」


市助くん、5日間、頑張った!今日のが一番楽だったかな?掛け物を「化け物」と言ってみたり、医者の先生にお世話になってるから、たまには風邪をひこう、とか工夫してみせた。6日間の前座仕事、お疲れさま。

さて、連続口演の方は、千秋楽。いよいよ語り納め、ということになった。

長二は、南町奉行に自訴して関係者一同揃ってのお白州の取り調べとなる。初めは殺人動機については口を割らなかった長二だったが、亀甲屋の手代から、金が欲しくて殺したんだろうと言われて黙っていられなくなり、ついにこれまでの行くたてをすべて有り体に申し上げる。親殺しの罪を申し出たことになるが、長二の人となりが明らかになるにつれ、奉行はなんとか助命をしたいと思うようになる。いろいろと亀甲屋夫妻の過去を洗うと、うさん臭い過去がありそうだ、となり、過去を知っている古い奉公人夫婦に目を付け、目明かしに密かに見張らせる。すると、越中無宿の医者の男がこの夫婦に強請をかけるところを見てしまい、3人をお縄にする。この男の白状した所により、長二の実の父の先代の亀甲屋の主は、この3人が実母のおりゅうと幸兵衛にそそのかされて殺害したことがわかる。したがって、幸兵衛殺しは、親の敵打ちとなり、あとは実母殺しの罪がなんとかならないか、という話になり、時の老中一同、将軍に裁可を願い出る。将軍はこれを湯島聖堂の林大学頭に命じ、このような事例が唐土にないか、調べさせる。林大学は、孔子の子孫に、離別された母の喪に服さなかった、という例から、これだけの悪女、先代主からは離別されて然るべき女。したがって、長二にとって、母とはいえない。それゆえ、親の敵を討った長二は、青指五貫文のご褒美が出、また亀甲屋の身代の相続を認められる。思わぬ仕儀に驚く一同。許された長二は、亡き親達の菩提を篤く弔うのだった。

長い噺は、ハッピーエンドで幕となった。勧善懲悪。この日は、奉行、小悪党の夫婦者や、以前の医者で、今は尾羽うち枯らした無宿人、軒先で商いをする路上商人(実は岡っ引き)などが登場。一礼して、やっと笑みを浮かべた馬石師、長い噺のプレッシャーから解放され、軽やかに「かっぽれ」を踊って引っ込んで行った。お疲れさまでした。このあと師匠は鈴本へ・・・

仲入り後、雲助師もいよいよ語り納め。
茣蓙松の店先に座り込もうと騒ぎだしたお富与三郎は、定廻りの同心に取り押さえられ、あっけなくお縄になり、お富は永代入牢、与三郎は、佐渡に送られる。佐渡では、金山の水換え人足として牛馬のごとく扱われ、堪えかねた与三郎がお富に会いたいとつぶやくのを聞いた、江戸から送られてきた、ご家人崩れの鉄と、坊主の松。三人で島抜けの相談がまとまる。荒天の晩に抜け出すが、小舟を取ろうとしたところ、そこは手が回っていた。進むも、退くも地獄となった三人。数日前に難破した船から海に流された丸太の溜まる場所の見当をつけ、その上から、一か八か、飛び込んで丸太を組んで外海に出て行こうという、ごけ鉄の言うことに従うことになる。南無三、と飛び降りる三人。なんとか浮かび上がった先に丸太があり、これを組んで出かけるが、嵐の晩のこと。筏は波にもまれ、鉄は、海に投げ出されてしまうが、与三郎と松は、なんとか流れ着き、土地の親分のところに助けられることになる。
というところで、おしまい。

「お富與三郎」は、ずいぶん長い噺で、まだまだ先があるようだ。長編人情噺は、こんなふうに引き延ばし引き延ばし、毎夜寄席に足を向けさせるものだったのだろう。そんな魅力の一端を垣間みることができて、興味深いものだった。
雲助師の、腹の底から絞り出すような悪党の声音が非常に印象的だった。入り乱れる人名、地名。それら間違えずに記憶して行くことは並大抵ではなかったと思う。本当にお疲れさまでした。
そして、この企画を実現させてくださったいたちや女将、川崎理沙さん、ほんとうにありがとう。また、期待します!っていうと、雲助師、もう嫌かなぁ・・でも、また、いつか、是非!