桃月庵白酒    長屋
蜃気楼龍月    定吉殺し
五街道雲助    権九郎殺し(芝居掛り)
      仲入り
隅田川馬石    雪の子別れ


私的に、今月一番楽しみにしていた公演。
公会堂には花道が設置され、歌舞伎公演のよう。

白酒師が、まず照れくさそうに(途中、二階にも両手を振って)花道を通り、本舞台へ。
席が花道隣だったので、なんとなく嬉しい。
出囃子も、いつもとは違って、長いバージョン。

「小児は白き糸のごときもの・・」
と、真田小僧のような入り方。
憎たらしい長吉の物語がスタート。
それにしても、「コハダの鮨をつまむから、おっかあ銭くれ」
なんて、すごい生意気な台詞!

こういう子供は奉公に出してしまうのが江戸の頃の常套手段だったようだが、
出された方はいい面の皮だ・・
ところが、奉公先には更に上手の(?)悪い番頭がいて・・
という続きは、龍玉師。

やはり、勝手が違う風情で、揚幕が上がって、花道から本舞台の高座へ。
「待ってました!」の声が。

コミカルな部分もあった白酒師の噺から一転して、
いっぱしの悪党になった長吉の、背筋も凍る悪ぶり・・
長吉を操り、主人の金を盗ませようと企む番頭よりも、数枚上手な悪の長吉。(こんな丁稚がいたか!?)
一点、細かいことだが、
長吉が奉公に上がる山崎屋を、
「大店(おおみせ)」と言っていたが、ここは、「おおだな」だろう。
吉原じゃないから・・

龍玉師の噺に、場内シーンと聞き入る。
そして、歌舞伎の定式幕が下りて、「定吉殺し」が幕になった。

2席終わって、場内も明るかったので、
場内のおそらく全員が仲入りと思ったはず!

ゾロゾロと席を立って、ロビーに出て行く人が約3分の一?
ところが、である。
出囃子が鳴っていたのだ。

「箱根八里」

まさか、この状況で師匠は出ないでしょう?
これは、仲入りの雰囲気盛り上げにサービスのBGM??
なんて思っていたのだが・・・

まさかの幕開き。

薄暗いライトの中、
高座を撤去した平舞台に、なんと雲助師が出ている!

ええ~~~!!!

気づいた人が、三々五々戻り始めた。
まるで寄席の前座のときみたいなざわついた中で、
始まっちゃった本日の目玉!

勿体ない・・・
中には、トイレでゆっくりされていたのか、
師匠の芝居掛りが終わって戻った人も・・・

定式幕をおろしたのが、まず混乱のもと。
アナウンスで、仲入りではないことを伝えたほうが親切だった。

それはさておき・・・
雲助師匠。

宮戸川や、髪結新三でおなじみの、
「殺人者と殺される人」を、くるくると変わりながらの演じ方。

パッと、その人の顔になりきるところ、すごい。
目立たぬように足袋を脱いでおいて、
引っ込みは、花道へ。
「音羽屋!」と、思わず掛けたくなるところ。

歌舞伎では、ここで下座の音が入るが、無音だった。
懐から吉原つなぎの藍の手ぬぐいを出して、
おもむろにほっかむり。
花道を、揚幕めがけて駆け込んでいく!

よ! 五街道!
とは、掛からなかったが・・・

そこで、「お仲入り~」の声。
なんとも、なさけない・・・

そして、大詰め、「雪の子別れ」の馬石師の出は、
花道からだったが、前のお二人とは違って、
ここから既に役に入っての出となっていた。

イキもつかせぬ気の入り様。

悪党ながらも、親を思う、という複雑な長吉。
歌舞伎の世話物ではおなじみの人物像なのだが、
落語にその二面性はちょっと複雑。

こちらも、父親長兵衛、せがれ長吉、と
二人の表情が一瞬にしてできあがるところ、師匠譲り。

長吉が、長屋を出て、橋にかかるところで、
舞台に雪が舞った。
ここは、やや芝居掛りの演出。

捕まってしまう 長吉。
悪いヤツで、あたりまえなのだが、なんだか切ない。

幕のあと、
四門勢揃いで、「まずは、これまで」
挨拶。


この四門ならではの、四者四様の達者な芸を見せてもらった。
また、ぜひやってほしいものです。

昨年、平成中村座で、歌舞伎の「双蝶々曲輪日記」を見たので、
その換骨奪胎ぶり、名前だけ残して、内容を変えてるところが、
興味深かった。

歌舞伎の方では、舞台が大阪なのだが、こちらはもちろん江戸。
が、なぜか、番頭権九郎は、上方訛。

歌舞伎を落語に持ってくるのは、「明烏」をはじめ、
多いが、パロディとして、おもしろがられた、という背景があったんでしょうね。
今は、それも通じなくなってますけど。