LOTUS EXIGE S V6 3500

BMWやメルセデス、アウディにフォルクスワーゲン。
昨今の4輪車はとても便利で至れり尽くせり。
トヨタや日産のミニバンと云われるカテゴリやセダンに関して言えば、それはまるで「走る応接間」と呼んでも良いくらいの代物が台頭している。
極論を言えば、人間が足を使わずに早く、そして楽に目的地に到着する為に作られ始めたのが車やオートバイという移動アイテム。
つまり昨今の4輪車は原点回帰という目線で見れば順当な進化をしているといえようか。
それにも関わらず”わざわざ”苦労を伴ってでも目的を達成しようとする人間が存在するのも事実。寒い暑い、転ぶと非常に痛いオートバイに乗っている人達はまさにその代表ではないか。
オートバイに関して言えばタイヤが二つしか無い以上、これ以上快適には出来ないと思われるが、一方4輪に関していえば、その快適さや安全性は青天井の進化。ブレーキすら自動で掛けてくれる4輪が軽自動車にさえ登場しているらしい。

この派手な車は”ロータス”。社名はエキシージS。
デビュー間もない新型車。
このロータスというメーカーはとても小さい4輪車をライナップしているのと「走り」に特化した・・・というより特化し過ぎた性格故に興味は惹かれていたが、通りすがりに横目で楽しんでいた程度。
しかし今回エキシージというモデルがV型6気筒3500ccを搭載し、少し大きくなった事で、ユーティリティの進化も興味深かった。たまたま時間が空いたのでお茶を頂きにお邪魔してみた。
営業の方は私がエキシージSの展示車に近寄るかどうかのタイミングで直ぐに近寄ってきた。ゆっくりと眺める間も無く、とにかく乗ってみて下さいという事でとても窮屈そうに見える「バスタブ」に身体を沈める。
車高が1130mmととても低いのに加え、サイドシルの厚みと高さが普通の4輪では有り得ない異常なボリュームである為、まさに”潜り込む”という言葉が適当。これ程までに乗り込みづらい車種を他に知らない。
しかし乗ってしまうとこれまたそれ程狭くはない。シートはリクライニングの無いバケットタイプではあるが、私の様なデブでも余裕がある・・・というかあまりタイトではないのでコーナリングでのホールディングに聊か疑問が残る程。痩せ型のドライバーなら身体が遊んでしまうのではないか。
センターよりやや助手席側へ依ったシートに身を預けて、そこから手を上げると小さなステアリングホイールが目の前に。
なんとこのステアリングはパワーステアリングレス。パワステの無い4輪にお目に掛かるのはAW11型のトヨタMR2以来。
小さなキャビンから大きく張り出した前後フェンダーへの流れは色気を感じずにはいられない。こういった造形を創る事が許されない利潤追求最優先の国産メーカーの開発陣はなんと哀れなことか。
しかしこの車体に搭載されるエンジンは、その国産巨大企業の製品なのは意外なのかもしれない。
レクサスIS350やヴェルファイア、アルファード、エスティマに搭載される2GR-FEというV型6気筒3500cc。
無論そのまま搭載される事はなく、これにスーパーチャージャーを装着しプラス25%のパワーアドバンテージを得ており、約2トンという車重のアルファードに比較して、1180kgのエキシージSがどれだけ運動性を追求したモデルか伺いしれる。
ロータスのエリーゼにトヨタセリカの”2ZZ”エンジンが搭載されて久しいが、当初はトヨタ製のエンジンをそのまま搭載するのでは無いにしろ疑問に感じていたのは確か。
いつ壊れるか恐怖を感じながらドライブするフェラーリより、遠慮無くアクセルを思い切り踏み切れるトヨタ製エンジンをドライブする方が精神衛生上ヨロシイのではとも思える。
遠い昔にいすゞ製のジェミニという車種に「Handring by LOTUS」というフレーズがあったが、元来ロータスというメーカーは車体作りがメインであり、その昔にはホンダ製のエンジンを搭載してF1参戦し、かの中島悟がドライビングしていた。
フェラーリやマクラーレンも市販車を製造しているが、ロータスとの価格差は天と地程の開きがあるのは周知であり、F1テクノロジーを比較的安価に味わう事が出来るロータスは中々興味深いではないか。
アルミモノコックフレームを取り囲むFRP製も外装、それはもうオートバイでいう”カウル”状態であり、その美しい造形はフェラーリやマクラーレンにも負けてはいない。
タマ数がなく試乗する事は簡単に許されない様だが機会があれば是非走らせてみたい車両であり、許されるのであれば長く付き合ってみたいと思わせる4輪でした。
因みにこう言った濃いメーカーの営業マンは車好きが多いのは想定内であり、弾丸トークも織り込み済だが、2時間近く話しっ放しにも関わらずお茶は出なかった。あれだけ喋って飲み物無しというのはとても凄いと思った。むしろ私より飲み物を飲むべきは営業マンだったかもしれない。