KTM DUKE200とDUKE390、ヤマハWR250R
半年程前にリフレッシュしたTT-R250RAID。某オークションで購入してから10年以上のお付き合い。
こいつで遠くに行こうと思った時…例えば今回のお盆のツーリング等に出掛けられるか?という場合、実際どうなのだろう。
本当に600km以上の土地に辿り着けるのだろうか。
GWツーリングで250ccの良さをイヤという程味わっていた事で、正直RAIDで行ってみようか?と頭をかすめたのも事実。
30km/Lを越える燃費にレギュラーガソリン。100L程使用する燃料はツーリング中のお財布事情を大きく左右する。
私の乗り方を知る周りの人間は「壊すからやめた方が良い」とのアドバイス。
確かに1995年式、製造後20年の月日を考慮すると600km以上の一気乗りは酷と言うものか。
フレームだって鉄であり、厚い塗装がされてるとは言え、何れ朽ち果てる時が来るだろう。
買い替える理由を見付けている様だが、まさにその通りなのは否定しない。

デビュー当時から欲しいと思っているヤマハ”WR250R”。
アルミフレームにチタンバルブ、太い倒立フォークにウェイヴディスク等々、本気な造りが売りのオートバイ。その凝った造りの影響で、最近発売になった排気量が3倍以上のMT-09とさほど金額に開きがない。
排気量=金額ではないが、同じ様な金額で小排気量を選ぶなんてストイック過ぎる。
東南アジア諸国で造られ非常識な程に安価な小排気量オートバイが幅を利かす昨今、もうこんなオートバイが出てくる事は二度とないだろう。
軽量な車体にハイクオリティ、ハイパワーなエンジンと合わせ、とても魅力的だ。
しかしながらここで問題になったのはシートの”細さ”と”固さ”。
オフロード車両はコンペティションモデルになればなるほど、シートは座るモノでは無くなってくる。これは以前に所有していたKTM525EXC-Rで体感済み。
WRユーザーに聞くとノーマルシートだと100kmが限界だそうだ。
シートにジェルを入れたり、より柔かいスポンジ等へカスタムしても気休め程度で、せいぜい150km程度だそうだ。
本来WR250Rで500kmとか走ってはいけないのだろう。
それと最大のマイナス面は税込70万を越える車両価格。

そこで久しぶりに訪れたのはKTMのお店。
お目当てはDUKE200と同390。店主には申し訳無かったがこの2台、全くノーマークだった。
DUKE390は税込¥586000-。
DUKE200は税込¥545000-。
インドのバジャジという会社がKTMの株主だそうで、そこで製作されている模様。どうりで安価なわけだ。車体構成部品が殆ど共通な模様。
確かにタイで造られているNINJA250やCBR250R等も安価な理由は同じくアジア産という事に他ならず、このDUKEも同様の印象だろうか。

インド製なりの造りかと思いきや、ゆっくりと見回してみるとそうでもない様だ。
グループ企業であるWP製の前後サスペンションを使用しているのは、兄貴分達と同じだし、調整機構はプリロード程度しかなく、中身は違うのかも知れないが意匠はそのまま。
ヘッドライトはH4を使用したハロゲンランプではあるが、テールランプとウィンカーはLEDを使用している。
DUKE3兄弟で共通のブレンボ製と思しき前後ホイールも魅力の一つ。
ただ、DUKE200はタイヤがインド製であり、出来る事なら早々に有名メーカーへの交換を薦められた。DUKE390には最初からメッツラーを装備している。
先ずDUKE200へ試乗。
キーをオンにするとデジタルメータ表示の演出後にセルボタンを押すと、少しだけセルモータが多く回る印象の後無事始動。
農機具を思わせる排気音は少々拍子抜けだったが、相対的に大きな排気音に感じた。
ポジションは可も無く不可もなくのニュートラルで、手足に伝わる振動も小排気量だからか殆どない。640DUKEの時は足の裏が痒くなったものだ。
アイドリングから軽いクラッチを繋いでスタートすると、さすが200cc、発進は少しだけ気を使うがそれはRAIDと比較しての話。
思ったよりクロスした6速ミッションを小気味良く掻き上げていくと、すぐに法定速度を越えてしまう。
迷惑千万で住宅街のカーブでペースアップ。なんと気持ちの良い事か。
街中や住宅街は飛ばす所では無いが、そこで飛ばすのにちょうど良い。
ショートストロークエンジンは回してナンボのエンジンであり、低速で少し寂しかったのには理由があったのだ。

タコメータのバーがとても細いので、瞬間的な視認性は悪し。
左下に水温、右下には燃料計、アベレージスピードや始動している時間等色々な情報が表示されるのは良いが、画面が小さい事で詰め込み感は否めない。なんとよく見るとギアポジション表示まであるではないか。
ラジエタが小さいのか、エンジン内の通路が問題なのか、日本より暑いであろうインドで造られているわりに水温はギリギリまで上がっている。
これも指摘するとこんなモノらしい。
続いてDUKE390。
DUKE200からの乗り換えなのでスタートした瞬間からパワフルさは明らか。ボア、ストロークの両者を増大し約2倍になった排気量なのだから当たり前といえば当たり前。
やはりストロークが短いからか、「トコトコ感」という印象は薄く、3000回転も回ると連続音となる。こちらも低速が少々薄い分、高回転に移行するにつれパワーが二字曲線的に盛り上がる。これはDUKE200にも言える事だが、しっかりパワーバンドが存在するエンジン。
こちらは少しペースアップするにも少しアクセルを制限しないと危険な感じ。DUKE200試乗時、気持ち良く全開に出来た場所で、この390は少し気を使わなくてはならない。
つまり走るステージが少々違うようだ。
今回の試乗で高速道路には乗らなかったが、高速道路を多用する場合は、やはりDUKE390に軍配が上がる。大きな”R”を描いたコーナーの連続する所であればレプリカ系に付いて行く事も十分可能と思われるが、DUKE200では少し役不足。
しかし所謂「酷道」と言われる1.5車線の九十九折れならDUKE200の気持ち良さが際立つのは間違いない。
どちらもクロモリ製フレームで同じ仕様だそうだが、脚周りの違いからか、「跨った丸太の太さ」が違う印象。
390は太い丸太、200はそれより細い丸太に跨っている様。
WR250Rで問題だったシートは両車共十分な広さと柔かさを備えており、所謂「お尻が割れる」という事はないだろう。
”シングルらしさ”という事では物足りない気もするが、これはインジェクションのキメ細やかな制御も手伝って、乗り易さに起因しているのは確かだ。BMWにも”らしさ”が無くなって来ているのと同じ事であり、進化は当然、それを否定するつもりはないのは以前にも書いた通り。
DUKE200の燃費は35km/L程度は走るらしいし、タンク容量も11L。8L以下のWR250Rより大きなアドバンテージを得ている。
荷物の積載性はWRもDUKEも同じ様なものだし、年に数度のツーリングにも問題無く使用出来そう。これがレギュラーガソリンだったら尚よろし。
WR250Rはとても良いオートバイだし、一生モノと言っても過言ではない。そのためには高額なのも致し方無いのかも知れない。
スタイルだけで購入した事も過去にはあったが、やはりキメ手は”使い方”だ。
片道3kmの通勤に使用する為に、ハードなエンジンにハードな乗り心地は必要無い。DUKE200の実用性の方が際立つ。たまのツーリングでは少しストレスが溜るだろうが、所有期間からすればそれはホンの一瞬だ。
街乗り及び通勤メインで車検無しという待遇を考慮するとDUKE200か。そもそも街中では十分な愉しさだったし。
しかし逆に、短い通勤距離ならばWRでもアリか。たまのツーリングで我慢するか・・・。
所有欲という意味では、WRの方が末永く付き合える様な気がするが、どの程度の我慢を強いられるのかが予測不能。なにせ長い距離を走った事がない。
もう少し考えてみようか。
潤沢に余裕があるわけではないのでRAID続投というの十分に有り得る。さらに整備をすすめるという手もある。それが一番安価なのは言わずもがな。
しかしさすがKTM、相変わらずFunRide。
久しぶりのDUKEだったが、新しかろうがインドで造られようが、やはりDUKEだった。
なんだかよく分からなくなってきたが、この時間が一番愉しいのは子供の頃から変わらない。