北東北の旅 2011 高揚のスタート

真夜中の首都高永福料金所。
恒例のお盆休みツーリング第一歩はここから始まった。
どんなに長い旅にも第一歩は必ずある。ここから約2000キロの果てに期待に胸が膨らむ。
ツーリングの本来のスタートは13日からであるが、私は昨年に引き続き12日からの前乗り。
そして集合場所は過去一番の遠方、むつ市は”恐山”の駐車場。
何名か前乗りしている様だが、それぞれの目的地は不明。それぞれ明日に向かって一人旅を楽しんでいるようだ。
昨年は経費削減で深夜割引が使えるギリギリまで高速は使用せずに北上し、頑張ったわりに宇都宮止まりだったので、今年は無駄な時間を省くべく首都高よりアクセス。慣れた土地はさっさとスルーするに限る。(今頃気付くのも問題だ)
永福より摂氏40度の山手トンネルを抜け、江北より東北道方面へ。
午前5時に那須SAにて”E大”さんと待ち合わせをしており、深夜のせいかスムーズに事は運び、東北道浦和料金所を午前3時半に通過。午前5時到着には余裕のペースを築くことが出来たようだ。
今年は罹災証明があれば東北道無料という措置が取られた故、渋滞は容易に予想出来たものの、”栃木ICより先30キロ渋滞”の文字が・・・。言われると車が多い様な気もしてきた。

東の空が白みかかった頃、渋滞に捕まった。
確かに渋滞なぞ良いわけがあるまい。4輪なら尚更だ。
しかし、この”綱渡り”の状態は、否が応でも神経を集中させる為、オートバイを操る事以外に何も考える事が出来ない。いわゆる”無”の状態になるのだ。
この状態が満更でもない自分がいる事に気付かされたのは少々意外だった。
遅くも無いが、それなりのスピードで綱渡りをしていると、後方からマルチサウンドが聞え、それはアッという間に私の後方に迫っていた。
ミラーで確認すると”CBR1000RR”の様だ。見ての通り、私は画像も撮りたかったのでチンタラ走っており、即座に走行車線に逃げた。
するとやや左に振り返りながら、手を挙げて私を抜き去って行った。(見難いが画像中央にテールランプが)
追い越して行ったそのライダーのヘルメット後方から髪の毛が見えた様な気がした。「女性か・・・?」
別に下心は無いが女性に突かれて譲った格好になっているのが気に入らない。それなりのペースで抜いていったので、追い付かない前提で追走開始。
ここから先は”無”を通り越したのは言うまでも無い。
時間にして10分少々だろうか、”綱渡り中”の数台のオートバイをかわして行くと、先にそれらしい車体が確認出来た。やはりそれなりのペースで走行している様だ。
下心と圧力を掛けるつもりは毛頭無かったが、私の方が追い付く為のペースだった為に勢いよく背後に迫ってしまい、今度は逆に道を譲られた。やはり比較的小柄な女性の様だ。
ここから断続渋滞の中、私が先行の形で”綱渡り”を2台で愉しむ事になった。
流れ出しては詰る・・・という繰り返しの中、一度だけ彼女は私を追い抜いた。そして振り払いに掛かった。しかしそう簡単に振り切れる程私は優しくない。そして後ろから少々プレッシャーを掛けてみる。譲る気配は無い。相当な自信がお有りの様子。
私も大人気ないかも知れないが、全く離れる事はしなかった。しかし彼女は私を振り切る事が出来ない。この状態が長く続くと望まざる結果となる可能性も含む。
ここは私が先導し、ペースを構築した方が良さそうだ。
先述したが彼女は譲る気が無い。よって少々強引だが大型トレーラの進路変更を利用して私が前に出る。
ここから上限を制限プラス20%で完全固定。4輪が流れている限り、このペースから私は落とさなかったし上げもしない。すると彼女も私をペースメイカーとしてくれた様だ。完全に私に張り付いている。
何かあってからでは不味いのだ。せっかくの旅がお互い台無しになる。
しかし、170馬力をゆうに超すCBR1000RRで、空冷2気筒僅か90馬力足らずの私の15RSを抜かさず付いてくるのはオートバイならではの無言の会話が成り立ったという事か・・・。
彼女もそれなりの腕と経験を持っているだろうが、このペースならお互い危ない事も無く、早朝の東北道を比較的快適に走る事が出来るだろう。
結局、付かず離れずの関係は栃木ICから、結局”E大”さんとの待ち合わせ場所である那須SAまで続いた。
そして彼女は那須SAの直前で、アクセルをひと吹かしして私を左側からパスし、SAに吸い込まれていった。
待ち合わせの約束があるので、当然私も遅れて吸い込まれるわけだが、敢えて彼女とは距離を取ってオートバイを停めた。遠めに見えた彼女はやはり小柄な可愛らしい女性だった。
それにしてもCBRを手足の様に操っていたのには、少々感動。
久しぶりに良いモノを見せて貰った。
今まで見た女性では確実に速い部類に入るだろうし、腕に覚えが無いと付いていく事すら出来ない男性も多いだろう事が容易に想像出来る走りだった。
そして彼女は短い休憩の後、私に手を振ってくれた。
そして颯爽と加速レーンに消えて行った。礼儀までも上級者だったのは副産物か。
そんなこんなで、いやな渋滞も楽しい一時となり、ペースも良かったせいで午前5時少々回ったトコで那須SAに到着した私だったが、同行者の”E大”さんは恐らく先程の女性と違って大型オートバイに乗り始めて2年程。よってあの渋滞ではそれなりに待ちそうな予感。

待っている間にすっかり夜が明けてしまった。
そうこうしているうちに待ち人到着。二人で軽く朝のコーヒーをすすって次なる休憩場所の国見SAへ。
栃木県の次は宮城県。本日の東北道下車予定地は一関ICだ。

国見SAで朝食と給油を済ませ、午前10時に一関ICに到着。
私の車体は470キロの走行後、一関IC下車後に19L給油でおおよそ24キロ/L。やはりGSよりはるかに燃費がよろしい。
そしてこの後向かうは気仙沼。
冷やかしと言われるとそうかも知れないが、テレビ等で見る被災地を自分の目で確かめたかったからだ。
しかし、今夜の宿の確保もまだ出来ていない上、予定では三陸海岸から再び内陸へ出て、八幡平で今夜は泊まろうと考えていたので、気仙沼より北の陸前高田へ向かう事に。

一関ICより1時間程走って、陸前高田市へ。
穏やかな海の背後には更地が広がっていた。簡易看板はあれど信号も何もない。片付いているという事だが、かえって何も無くなってしまっている状況を助長させる。そこかしこに見た事ない潰れ方の車が放置される。

うず高く積まれた瓦礫。
その高さは10メートルを超す勢い。ちなみに我々が停めている場所はセルフガソリンスタンドの後。給油ポンプも詰所も何もかも流されており、画像には映っていないが右側に建つ看板が辛うじて残る。

海の目の前に建つホテルも4F部分まで津波が押し寄せていた。
よくぞ建ち続けたと思うほどの破壊状況。
言葉が出ないという事にあまり遭遇した事の無い私だが、見事にそうなってしまった。直後の状況はさらに酷かっただろうから、さらに絶句していた事だろう。人間なんてとても小さく無力である事を実感。
でも、見に来て良かったと思います。
これは蚊帳の外の出来事ではなく、紛れまなく確実に身近で起こった事実である事を再確認する事が出来ました。我が国は大変な事になっている。
この事実が喉元を過ぎてはいけないという事を・・・。
さて気を取り直し30分少々の滞在後、今夜の宿泊予定地である八幡平へ向かうべく、内陸を北西へ。釜石自動車道から再び東北道で松尾八幡平IC目指し、ひたすら北上。

松尾八幡平ICからは私が日本一好きな道路である八幡平”樹海ライン”で日帰り温泉を楽しむ為、”藤七温泉 彩雲荘”へ。
ここまで来ればやはり本当の東北。山登りの最中1台の車にも会いません。

でも、藤七温泉は盛況。午後5時近いのに日帰り客がそれなりにいます。”E大”さんはここの雲上露天風呂がだいぶお気に入りの様子。
わざわざ来て良かったです。
そして今夜のお宿は、この八幡平”樹海ライン”を再び下山した麓にある”松川温泉 松風荘”ここ松川温泉では一番リーズナブルなお宿。でも温泉はとても良い乳白色のお湯を湛えています。

廊下や屋根が雪の重み?で歪んでたりしますが、風情優先の私には魅力的なお宿です。過去に一度お世話になった事もあり、再訪の印象も楽しみです。

宿の部屋から見たこの宿名物の洞窟風呂へのつり橋。こういったプロセスも評価に値します。

そしてこれが、その洞窟風呂。
半露天風呂といったトコでしょうか。
以前訪れた際は熱くて入る事が出来なかったと記憶していたが、今回は温めで入り易い。

そしてこの宿にはプライドの高そうなネコがいます。
ちなみに「ウニャ、ウニャ」言いながら、もう一つの露天風呂へ案内してくれました。

これがその露天風呂。混浴です。ここはやや熱めでしたが、涼しい八幡平にはちょうど良い湯加減。
明けて13日。ツーリングのスタートの日。14日までの予定で参加した”E大”さんでしたが、長距離ツーリングは経験が無く、本日帰宅との話もありましたが、せっかくだからと延泊決定。
二人で仲間との集合場所である恐山へ。そして本日の宿泊地である”下風呂温泉”に向かう事に。
ちなみに部屋は若干狭かったものの、当日の予約で飲み代入れて、¥8000はお値打ちではなかろうか、”松風荘”。安価で良いお風呂であるおススメのお宿です。

酷暑ではあるものの、晴れた日のオートバイはご機嫌です。
早々に松尾八幡平から東北道で一気に北上・・・と思いきや、八甲田の”酸ケ湯温泉”に行ってみたいとの意見から、黒石ICで下車。国道102号で八甲田山方面へ。

集合時間がやや押しているが、せっかくだからと名物ヒバ千人風呂に入浴し、急いで七戸経由で下北半島をまたも北上。

集合時間は午後2時。そして2時半には宇曽利山湖へ到着。事前のメールに依ると一部現着しているとの事。写真撮っている場合ではない。

前乗り組みと数名の当日組みが既に到着しており、結果的に我々が一番遅かった。
その他の当日組みは緩い時間の組み方だった故、宿直行を指示して、宿でのイベントが控えている事もあり、先を急ぐ事に。

恐山を後にした一行。あと少しでオートバイを降りる事が出来ます。
ゴールはもうすぐ。
ここで当日組み第3隊にトラブル情報が・・・。フロントのベアリングが福島で破損。車両を置いて2人乗りで向かう可能性が浮上たとの事。
しかし、かの対応の冷たさで有名な”レッドバロン”ことヤマハオートセンターに奇跡的に在庫があり、交換もして貰える事になったとの事。
宿でのイベントには間に合わないものの、なんとか向かうとの事で事無きを得た様子。
前乗り組と当日組第1隊が本日の宿下風呂温泉”さが旅館”へ到着したのは午後4時。そして当日組第2隊がおくれて午後5時前到着。
軽く一っ風呂浴びて、今夜の宿のイベントへ。走って走ってまだイベント参加は中々大変ですが。その内容はまた次回の講釈で・・・・。