BMW R100RSと出会って・・・2

まだまだ2バルブボクサーに触れて、間も無い私が書くのも憚られますが、”R10ORS”らしい部分について、前回の続きです。
このオートバイの魅力は冬に尽きると思う旨は前回書きましたが、具体的に検証してみます。

まず右足。土踏まずを通常にステップバーに置くと、脛がキャブレーターに触れるか触れないかの位置になります。

今度は左足。同じ角度から撮影出来ていない為、変化が分かり辛いかもしれませんが、脛とキャブレターとの間隔が空いているのです。
これは全てのボクサーエンジンに言えますが、張り出しタシリンダーの左右が微妙に前後にズレているから。
R1100、R1200シリーズと比べると格段にシリンダーに足が近い。
この距離こそが暖かく、そして多少の雨では足が濡れない理由。

微妙に左右がズレているのがお分かりか・・・。
この至近距離のおかげで夏は低温火傷の恐れあり。6月~9月くらいは避けたいのが本当のところ。
あと、この画像には何か不自然な事があります。R100RSオーナーの方はご存知の事と思います。
というのは・・・。

この画像なら見て取れます。(モザイクは関係ありません(笑))
そう、ステップがシリンダーと共に左右でズレているんです。
これは転倒したわけでもなく、バックステップを右側だけ付けているわけでもない。
これは国産はおろか、外国車でも普通有り得ない現象であろう。
もしかすると他車でもあるのかも知れないが、少なくとも私はそう思ってしまいます。
エンジンをもっと前に搭載出来れば、こんな事は無かったと思います。しかし、ただでさえフロント荷重の多いR100RSですから、これ以上エンジンを前に搭載出来なかったのではと考えます。
この左右のズレは言われるまで全く気付かない自分に再び驚きました。それはあまりに自然だったという事に他なりません。
R1200GSはシリンダー後端から脛まで30センチ近く空いている事を考えると暖かく、そして熱いに決まってます。

そしてこの大きなFRP製カウルが向かい風をシャットアウト。
シリンダーと足の関係と同じく、カウルと体の間隔も非常に少ない為、巻き込み風に晒される事も少ない。
カウルに完全に隠れたハンドルは、グリップヒーターが未装着でも問題無い。あればさらなる快適が約束される。

大きなカウルからフロントフォークを出す為の穴には、ラバーが装着され、隙間風を許すまいという設計者の意図がひしひしと伝わる。
これがあるとハンドリングが阻害されるという方もいるが、私には必要な装備の一つ。設計が旧いわりにアンダーブラケットが意外に逞しいのも高速安定性に起因しているだろう。

大きなスクリーンと耳の様なミラーで風を遮るが、逆に向かい風が吹くと速度が露骨に落ちてくるのは副産物というより副作用と言うべきか。
ボッシュ製のライトにガラスカバーを着けるという発想も他車には無い。
そしてこのガラスに入る茶色の横線は、太陽熱を蓄え、寒さ等で曇らないという蓄熱ラインとの事だが真意は定かではない。ホントなら素晴しい装備である。

カウル内左右に装備されるFIAMMのホーン。R1150RTにまで装備されていた様だが、現行車にはない様に思います。
まるで4輪のBMWの様な洒落たハモリ音を奏でます。
エンジンはOHV片側2バルブの980ccで60馬力。当然空冷式。
私の車両で、乗った感じ後輪で50馬力程度は出ていると思われます。オイルクーラーが装備され、サーモスタットもこの時代から装備されているので、ドゥカティの様に冬に冷え過ぎという事も無い。
オイル容量はエレメント交換込みでおおよそ2.5L少々と少なく、夏場のオイルへの負担は想像以上に厳しい。
私はこの2バルブボクサーにもフルシンセオイルを使用しているが、巷で言われる化学合成オイルによる”オイル漏れ”は皆無。
1L/1000キロの消費が普通のボクサーだが、この個体はオイル減少も100cc/1000キロといったところだ。
個人的にはシルコリンPRO4の滑らかさが気に入って常用しています。

購入直後にフロントフォークの腰砕け感と、リアサスペンションの疲労感を感じ、コーナーでは頻繁にセンタースタンドが接地。
よってフロントフォークのOHを兼ねて、未だ販売されているWP製のフォークスプリング、リアにはオーリンズモノサスを組み込むと、前後共に上がった車高により、コーナーでのスタンドの接地は無くなり、コンパクトな向き変えが可能になった。
前後で¥25000程度で交換出来るバイアスのミシュランタイヤで、現行オートバイに負けない実力を発揮する。見た目とは裏腹なオートバイなのです。

ここは志賀草津道路の湯釜駐車場付近。気温マイナス2度。
確かに寒いです。ですが今まで私が乗ってきたオートバイの中で一番快適なのは本当です。

リアデフ、そしてシャフト周り。残念ながらパラレバーではありません。
(R100GSはパラレバーなんですが・・・)
オイルはエンジン、ミッション、デフケース、そして他車には無い”シャフトオイル”の合計4か所が交換箇所。
以上、見て思って、感じた事をつらつらと書いてみました。
旧い車種故、壊れそうな印象が多かれ少なかれありますが、正直あまり壊れない思います。
部品も現行BMW車両と変わりませんし、むしろ安価かもしれません。
安価な細いバイアスタイヤ、少ないオイル量、20キロ/Lを楽に越える燃費。
その気になれば180km/h辺りまでスルリと加速し、コーナーリング性能は侮れないモノがあります。
現行BMW車両では薄れてしまい、殆ど感じる事の出来ない独特の振動を伴い、体を震わせながら頑張って走る空冷2バルブボクサーはとても魅力的で、愛おしくさえ思えてしまいます。
新型車でも同じですが、旧い車両ゆえ急の付く乗り方は基本ご法度。
基本的に大事に労わりながら乗る事が末永く乗る秘訣。
ブレーキやアクセルは絞り込む様に、ワダチや道路の凹凸はなるべく避ける様に走ると、乗り方が優しくなります。
この優しく扱うという事は、機械モノを長持ちさせるのに重要と考えます。女性にも同じ事がいえます。

R100RSの乗った後に改めて乗るR1200シリーズには、無味無臭というか、何処か冷たさみたいなモノを感じるのは、私が年を重ねたせいでしょうか。
旅性能としての実力は、ある意味完成されたR1200シリーズの方が、完璧であるのは間違いなく、任務をこなす為だけの道具であればパーフェクトなのは云うまでもないでしょう。
それで良い人はR100RSの様な旧いオートバイは必要ないかもしれません。
しかし私の場合、キャンプや温泉、旨いモン等、それらの目的を達成する為の道中も愉みたいし、そしてオートバイとの対話自体が愉しくもあります。
これも旅の目的でもあるのです。
R100RSで走ると、私に当たる風はまさに”昭和の風”なのです。