DUCATI ムルティストラーダ試乗
記録史上最高に暑い日が続く今年の夏ですが、そんな事にはへこたれない私は、汗ふきタオルを首に”新型ムルティストラーダ”を試乗しに馴染みのドカティディーラーに足を運んだ。
ここには996時代からお世話になっていたメカの方がおり、マニュアル通りの試乗ではつまらない事から融通の効くこのお店にお邪魔させて頂きました。
訪れるのは2年振りくらいだろうか、顔を見るなり懐かしい話で盛り上がり、試乗するのに30分近く話てしまった。

ムルティストラーダ1200S。オーリンズ、カーボンパーツで固められたスポーツ重視のモデル。¥2190000也。
この他に左右パニアケース装備の1200Sツーリング、オーリンズやカーボンパーツを省いた廉価版といえる1200ABSが¥1850000也。

個人的にマフラーの処理は秀逸に思う。シートより後半部は比較的スリム。

前モデルに比べると、やや大柄な印象。オフセットされたオーリンズのTTXモデルはドカティとオーリンズの共同開発品だそう。もちろんボディは総アルミ製。
リアの泥除けはGSの影響としか言いようがない。

H7と思しきバルブを使用した今風のヘッドライトはロービームで端の2灯が点灯。ハイビームでは4灯が点灯し、夜のツーリングへの安心感は絶大だろう。バラストの設置場所もあるだろうからHIDへの換装でさらに夜の安心は倍増する。
GSに比べると小ぶりなスクリーンは上方に50ミリ程度移動する。
GSには及ばないのは当然としても十分な防風効果を発揮。
ピレリ製のタイヤはマルチパーパス用の新型SYNCで、このオートバイの為に開発されたそう。

フロントマスクの中心には、LEDのポジションが2灯。光りモノが好きな私には堪えられない部分・・・。

この部分もGSを意識したと思われる部分。ヌメっとしたカーボンパーツが所有欲を満たす。

タンクからサイドパネルに繋がる部分、そしてタイミングベルトカバーがやはりカーボン製。当然手間の掛かる高価ドライカーボン製。

このお店の真骨頂。各所のワイアリング。
私がこのお店を支持するのは、こういった小さな気配り。
以前レーサーの996を持ち込んだ際には頼んでもいないのに、ブレーキやドレン等全ての必要箇所にワイアリングをしてくれていた。
それも特別な工賃は取られなかった。そう言った気配り、言わば先行投資とでも言いましょうか、これらが自然に出来てこそ、お客の付くお店となっていくのでしょう。

シャベルの様なハンドガードにはLEDのウィンカーが装備される。
転んだら無くなりそう・・・。

オールインワンの多機能メーター。反射で見づらい丸い部分は足回りに連動したエンジンの特製を4段階に変化させるインジケーターになっている。ボタン1つで”エンデューロ””アーバン””ツーリング””スポーツ”の4つのシチュエーションに分け隔てる。
”アーバン”では明らかにスロットル操作にたいして、ダルなアクセルレスポンスで、私的には一番印象が悪かった。CPU制御でのインジェクションのバタフライバルブの開閉を行うのは良いが、あまりに不自然な印象。
”エンデューロ”の足はGSのアドベンチャーに酷似している。またリアショックは自動でプリロードが掛かる為、乗車状態でリアの車高が上がってくる。減衰が抜かれ、伸びたストロークによって明らかに乗り心地が向上し、”アーバン”よりも柔らかい印象だった。そしてオフロード向きである為、トラクションコントロールは解除される。エンジン特製は”アーバン”と同じか?
”ツーリング”モードでの印象がトータルで一番良かったかも知れない。
それなりに締まった足回り、後述する”スポーツ”とエンジン特性が同じに感じる。長時間流す場合にやはり有効であろう。
”スポーツ”に関しては、締まった足周りにパワフルなエンジン。
一番楽しいのは事実だが、やはり必要でない場面では忙しないエンジンに感じる。フロントが軽くなるのはどのモードでも感じられたが、アクセルの追従が一番良いので、私は気持ち良く感じた。

シボ加工がされたシート。座面は広めで、やはり長距離を睨んだ作りになっている。但し、幅広な事が災いし、停車時には内腿に角が当たる。高速を長距離移動する場合には気にならない部分だが、都内でストップ&ゴーの繰り返しをした場合にはキツイかも。
そう言えば水温は最高で108℃を指していたが、特に足が熱く感じる事は無かった。

このオートバイにはイグニッションキーが存在しない。
昨今の高級4輪に多く見られる、キーを持っているだけでエンジンが始動するシステム。所謂コンフォートアクセスと言われるものが装備され、それは”ハンズフリーシステム”と呼ばれ、このドカティのマーク入りのキーホルダーを持っているだけで良い。ちなみにボタンを押すと内溝式のキーが飛び出す仕組みとなっており、それらでタンクやシートの開閉を行う。
インナーカウルにポケットがあり、そこに入れて使用するのだそうだ。
以下総括・・・。
私はGSに乗っているので、当然この車両はマークしていた。
おまけに以前ムルティストラーダ1000Sを乗っていたので尚更の事。
私の様なGS乗りが試乗に訪れているものかと、メカや営業に聞くと、なんとGS乗りは殆ど来ないという。
やはり、GS乗りに取ってドカティは眼中に無いと言う事が明らかになった。
ジャンルが違うとも言えるが、それだけGSシリーズは旅オートバイとして魅力的であり、旅に重きを置いたBMWの底力を目の当たりにした。
このムルティストラーダ1200は1年もの間テストが繰り返されたとの事だが、やはりドカティもGSを十分に研究していた様子。
私はドカティもBMWもそれなりに乗り継いできたので、今回のムルティストラーダの出来はだいたい想像出来ていた。
が、しかしエンデューロモードを試してみて、あまりに足回りがGSに酷似していた事が少々驚いた。正直GSから乗り替えても良いかも?と思ってしまったのは事実。20Lのタンクもアドベンチャーとの比較では少なく感じるが、1200GSとなら互角の航続距離を確保出来るのは間違いない。
そしてユーロ3に対応したエンジンは、本来150PSを越えるテスタストレッタエンジンを105PSにデチューンしてあるとの事だが、全く物足りなさを感じなかった。このディーラーに行くのに使用したのはRC8にも関わらず・・・。
1年前にRC8で感じた規制されたエンジンはけして気持ちの良いモノでは無かったのだが、規制されたこのエンジンは6000回転を境にパワーを抑えてあることを感じる事は殆ど無かったと言っても過言では無い。
やはりエンジンではKTMより老舗であるドカティの方が上なのは明らかだ。旅性能でGSにやや及ばないのと同じ様に・・・。
このオートバイはGSを知らなければ、旅アイテムとして十分な魅力を秘めているのは確かだが、やはりGSを知った人間になると少々冒険になりそうだ。ある意味アドベンチャーかも。
でも、1粒で4回美味しいムルティストラーダ1200Sなら使い方如何に寄ってはGSを越える存在になる可能性は大と思う。
(最後にスポーツモードで走ってみました。)