工業製品ではなく、工芸品。 | 欧州車かく語りき。

工業製品ではなく、工芸品。

この部品は、私のお気に入りのメーカー製のエキゾーストパイプ。

このスロベニア製のマフラーは当初、”スコーピオン”と名乗っていたが、商標登録をしていなかった為、その後に発売された欧州4輪車の名前と被ってしまい、逆にその名称が使用出来なった事から名前を変えざるを得なかったという。

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そして”AKRAPOVIC”となったのが、おおよそ10年程前だろうか。

スーパーバイク等のワークスレーサーがブレンボのブレーキシステムを挙って使用する用に、いつの頃からか殆どのワークスレーサーがスコーピオンのマフラーを使用し始め、一体どこのマフラーだろう・・・なんて思った事が記憶に残る。

KTMの660SMCを購入した際に、初めてこの”AKRAPOVIC”のマフラーを装着したのが、2003年。当時は世界共通価格になったばかりで、前年の半額程度になっていたが、それでも20万以上しただろうか。シングルのマフラーにも関わらず・・・。

このマフラーの輸入はプロトやアクティブ等で行っているが、ことKTMに関してはディラーからしか入手不可能であり、本国スロベニアのHPにもそのことは記されている。
よって値引きはありえない。(ディラーと付き合いが深ければあるかもしれないが)

以前の私は国産マフラー一辺倒で、欧米製のマフラーの性能はもとより、溶接痕や作りが雑であり、とても満足いくモノが無かったのがその理由である。

ここからは、この欧州製でありながら日本製を凌駕するこのエキゾーストパイプの魅力的な部分を観察してみます。

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機械曲げではあるが、とてもキレイな湾曲を描く、エキゾーストヘッダー。

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ツイン用であることとアンダーフロアであることから、非常に短いパイプ。
もちろんチタン製。

このエボリューションライングレードはこのメーカーとして最上級グレード。
その他にエボリューションラインをステンレスパイプに置き換えたレーシングライン、ストリート用のSPライン、スリップオングレードのスリップオンライン等のラインナップを揃える。しかしKTMにはエボリューションラインしかない。

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お弁当箱の様なチタンサイレンサー。大きいからか意外に重い。

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そのサイレンサーに連結されるとても短いテールパイプはなんと65ミリ。
1200ccのツインを1本に集合している事を考えるともう少しあっても良いような気もするが、低速を考えると妥当か。

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サイレンサーは65ミリストレート構造。それなりの音量が容易に想像出来る。

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消音バッフルが装着されるが、当然外します。

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O2センサー取り付け部。フタを外して装着する。この真鍮製と思しきフタは必要無い様な・・・。
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溶接機を用いた溶接痕。これほどキレイに仕上がった製品は国産でもそうは無い。
モトコルセ、ヨシムラくらいではなかろうか。

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2本のエキゾーストが1本の集合する。そこには両面に補強が入る。

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車体に固定されるステーももちろんチタン製。

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しかしエンジンの排気ポート直後はステンレス製。これは硬いが為に振動に弱いチタンに代っての採用。
チタンは高温に晒されると分子構造が変化し、脆くなってしまう為、素材を知り尽くしたメーカーだからこその判断である。
ちなみに660SMCも同じ構造だったが、4気筒勢のマフラーはフルチタンである事からツインやシングルの振動はかなり過酷な状況であろう。

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長円形状の排気ポートに接続されるフランジ部分。
排気抵抗になる内側の段差は皆無。とてもキレイにバリが取り除かれている。
私が以前装着した国産有名マフラーの内側には溶接バリがかなり出ており、リューターで削り落した。

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フランジ部分は切削加工にて製作されている。正確なジョイントを望むなら安価なプレス打ち抜きでは問題がある部分。

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仮組みした全体像。これだけで旨い酒が飲める。飯なら2杯はイケるだろうか。
とても美しい造りに思わずにやけてしまう。

プロ集団が妥協無く造り上げ、製品流通量が少ない製品だけに高額なのは致し方ない。
でも40万は凄いと思うのは私だけではないだろう。

私は今回中古品を運良く見つける事が出来、格安で入手したので良かったが、新品ではとても手が出なかったかもしれない。
しかしそれでも欲しいと思わせるのはこのマフラーに魅力に他ならない。